「あ~~、いやになっちゃうよな~。上司のみならず、会社も僕の存在価値を認めてくれないんだ・・・・・・」

 「なんでそんなことがわかるの?」

 「さっき、課長と喧嘩して、あまりにも僕のことを評価してくれないから、『じゃあ、他の会社は僕のことをもっと評価してくれるでしょうから、辞めます!』とたんかを切ったんだ。そしたら、『それなら、辞めたらいいよ! 部長も君はうちに合わないと言ってるから!』だって。もう今の会社にいるの、嫌になったよ!」

 たまたま、顧問先の社長と居酒屋に飲みに行った際、隣のテーブルに座っていた若者2人の声が大きくて、自然と話が聞こえてきました。それで、以前にある人事コンサルタントといっしょに講演をした際に、そのコンサルタントが話していたことを思い出しました。

 「企業にある程度勤めると、自分の市場価値がかわからなくなります。自分では結構仕事ができるので、市場価値が高いと思っている社員は多いのですが、実際は、専門知識や特殊な技能がいるわけでもない事務的な仕事や、誰でもできるコーディネーター的な仕事ばかりやってきているので、市場価値は、新入社員とそれほど変わらないのです。」

 私のコンサルティング経験から、自分の市場価値が高いと思っている人ほど、実際の市場価値は低いのです。つまり、そもそも自分に甘い人は、あまり努力しない人ですから、普段から専門能力や実績面での努力をしない人です。そんな人に客観的な労働市場が、高い評価をつけるはずがありません。

 面白いもので、仕事ができる人、出世する人ほど、自分への評価が厳しいので、自分自身の能力や価値は大したことないと思っています。目標が高いため、どんなに成果を出しても、高い目標から比べると、まだまだ劣るわけです。

 ですから、自分の市場価値を上げるために、まず具体的な高い目標を持つべきでしょう。そして、自分は今何がどのくらいできるのか、またプロとして何がどのくらいできるべきなのかを、絶えず明確にし、意識してその分野で力をつけるべきでしょう。それが出世のためには欠かせません。また、そのために、ビジネススクールやセミナーに参加するのも手です。