「凄いなあ! おそらく創業以来の最年少課長じゃない? 羨ましいなあ……」

 「何言ってるんだよ! 高々ちょっと人より早く課長になっただけじゃないか。お前だって、すぐに課長になるよ!」

 「わからないよ。俺はお前みたいに、仕事もできないし、人望がないからなあ…… お前は、同期での出世頭だから、ぜひ俺達の分まで頑張ってくれよ!」

 たまたま、顧問先の担当者、Aさんが課長になるということで、Aさんが親しい同期入社の友人達が彼のために祝賀会を行いました。私も招待を受けて参加し、隣に座っていたAさんと彼の親友との会話が自然に聞こえてきました。

 「Aさんらしいなあ……」と思ったのは、私だけではないと思います。彼はいつも高い目標設定し、それを達成すると、また更に高い目標を再設定するのです。出世できる人の典型的なタイプです。つまり、どんなに成果を出しても決して驕らず満足することもないのです。

 出世する人は、自慢しません。なぜでしょう? 目標が高いので、多少仕事ができたり、出世したぐらいでは、自慢するに値しないのです。もっともっと伸びたいと願っているので、逆に将来の夢からすると、現状ではまだまだと思っています。

 だからと言って、出世できない人達を見下げたりすることはありません。すべてにおいて成長しようとしているので、誰からも学ぼうとするのです。ですから、出世できない人でも、仕事ができない人でも、彼らの何か得意なことや長所を探して学ぼうとします。

 そんな何事にも謙虚に全力で真剣に当ることから、出世できる原因を積んでいるのです。出世する人は、高々ちょっとした、課長や部長のような役職を目標にはしません。目標はもっともっと高いのです。

 先日、トヨタ自動車の社長に抜擢された、渡辺捷昭氏は正に、典型的な出世タイプです。初めてお会いした時は、既に常務をされていたのですが、非常に謙虚でありながら、威厳があり、何か大きなものや将来を見られている印象を受けました。よく言われる「大きな器」の人という感じでした。感心したのは、とにかく人の話をよく聞き、人を褒めるのです。社長になられたこれからも、もっともっと出世されることでしょう。