本年2月に「<凡人でも上場できる!>起業の黄金ルール」という本を、日本実業出版社から出します。その「まえがき」をここに紹介させて頂きます。ご参考になれば幸いです。

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「まえがき」

 本書のタイトルに「凡人でも…」とありますが、実は、私ほど「凡人」、いや「バカな人間」も少ないのではないかと常日頃本音で思っていましたので、そのまま使わせて頂きました。

 出版企画を考えていた際、私の本業で得意分野でもある「起業」や「上場」に関するビジネス書を出すことになりました。なかなか適当な本のタイトルが浮ばなかったところ、日本実業出版社の大西啓之さんとアップルシード・エージェンシーの鬼塚忠社長と私とで出版企画のブレーンストーミングを行いました。3人で知恵を出し合うためです。

その際、私の体験談を聞いて、大西さんが、「上場できる起業!」というテーマで執筆できないかとの打診をしてくれたのです。分野的には得意中の得意でしたので、すぐにお引き受けすることにしました。

 その後「誰でもその気になれば上場できる」という私の日米アジアでの上場支援体験を反映させる意味で、大西さんが、更に「凡人」という言葉を加えてくれました。それを聞いて、凡人以下である私は、思わず「なるほど!」と共鳴した次第です。出版企画のプロである鬼塚社長も私のキャラを踏まえ、賛同してくれました。

「そうは言っても、浜口さんは、米国の競争激しい大手国際会計・経営コンサルティング会社のニューヨーク本社やダラス事務所で計10年プロフェッショナルとして勤め、その間、米国の経営大学院(ビジネススクール)の修士・博士課程で学びながら、ビジネススクールでも教えていたではありませんか? 凡人じゃあないでしょう?」

ごもっともなご指摘です。しかし、それには話せば長くなる裏事情があります。

まず、私は中学・高校時代、大変な劣等生で、とにかく勉強ができませんでした。親が切望して受験した高校も、とても入れるレベルではなかったのです。が、直前に過去すべての入学試験問題の出題頻度を分析し、入学試験問題のやまをはり、見事当てて入れてもらったのです。

従って、奇跡で入ったため、高校での成績はいつもビリでした。特に英語は、赤点(100点満点中30点未満で、通常追試を受けなければならない点数)の常習犯でした。英語科だった担任の先生も、絶えず頭を抱えていた次第です。

暗記力が極端に悪く、覚えた矢先から忘れていくのです。小学校に受けたIQテストもほとんどできなかったのを今でもはっきり覚えています。ですから、暗記中心の日本の偏差値教育にはまったくついて行けませんでした。

大学進学においても、付属高校でしたが、推薦試験に落ちてしまったのです。でも、高校の先生方の慈悲で何とか入れてもらった次第です。

「いい加減敗者復活しよう!」と、大学卒業前に、米国のビジネススクールを7校受けました。1校ぐらいは受かるのではとかすかな期待を寄せていましたが、見事に全校落ちてしまいました。

悲劇は「どこかに潜り込めるだろう!」と高を潜って、合格発表前に既に渡米していたことです。それで、「これからどうしたらいいのだろう? もしかしたら、私はこれから米国でジョブレス兼ホームレス生活をするのでは?」と途方に暮れてしまいました。

 そんな時です、ある新聞で憧れの世界最大級の国際会計・経営コンサルティング会社の本社での求人募集広告を発見したのは! 米国のビジネススクールに行きたかったのも、卒業後その会社で修行をしたかったからなのです。

「ダメで元々だ! 当って砕けろ!」と自分に言い聞かせ、勇気を振り絞ってニューヨーク本社に面接に行きました。そうしたら、その場で「即採用」という奇跡が起きました!

実力で入ったのではありません。そのコンサルティング会社の担当部署では日本語ができる会計士やコンサルタントがあまりにも不足していため、「猫の手も借りたい」超多忙状態だったのです。ですから「猫よりましだろう」という、3人の面接官の妥協とお情けで試しに採ってもらっただけなのです。ですので、いつクビになってもおかしくない毎日でした。

自分ながら「よく10年も続いたなあ……」いや、「会社も私のようなできない人間を雇い続け、よく我慢したなあ……」と今でも感心します。本当に当時私を雇ってくれた、世 界に10万人以上のプロフェッショナルを有するKPMG社(最初の会社)とプライスウォーターハウスクーパース社(後にヘッドハントしてくれた会社)に大感謝です。

しかし、今だから気楽に言えますが、私がどれだけミスや失敗を犯し、両社に迷惑をかけたことか、思い出すだけでぞっとします。ごめんなさい!

また、そもそも頭の悪い私がビジネススクールに入れたのも、裏口入学みたいなものです。

コンサルティング会社での経験を買われて、まず、元学部長で当時会計学科長をしていた、国際会計学では世界的権威のアドロフ・エントーベン教授の助手として採用になりました。それも、長年助手だった人が急病で倒れ、たまたま私が、その直後に助手に応募したからなのです。私以外に30人以上の優秀な人が先に応募していましたが、次の日からすぐに仕事ができるのは私一人だけだったのです。

ビジネススクールでの実力者であり、大学でも絶大なる権力を握っていたエントーベン教授の強力な推薦をもらい、先に彼の助手になっていたため、ほとんど無試験で大学院生としての資格も得たのです。

ところが、案の定、何度も教授会で退学処分を検討されるくらい成績は超低空飛行を続けました。いつ本当に退学になるのか、学期が終わる毎に、成績通知表を受け取るまで戦々恐々としておりました。

そうこうするうちに修士課程・博士課程を終えてしまいました。実に7年かかりました。凡人以下の私としては、これも奇跡としか言いようがありません。現にビジネススクールの友人達も「奇跡の卒業」とか「テキサス大学ビジネススクール始まって以来の7不思議のうちの1つ」と言っておりました。

 そもそも、勉強ができず英語が大の苦手だった私です。やっとの思いで日本の大学を卒業したのもつかの間、在学中に憧れるようになった「国際ベンチャーコンサルタント」になることを夢見て、後先考えず本場米国にとっとと渡ってしまいました。本当に無謀でした。でも、バカで無謀だったから、常識で考えたらできないことも、体当たりでやってこれたと思います。

今では「バカで良かった!」と思っています。そうでなければ、すぐに諦めていたことでしょう! その生き方が、起業・上場支援においてもいい方に発揮されてきたようです。

 私は、勉強ができない分、またぶきっちょな分、もしサラリーマンになれたとしても、まともにエリート達と競争したら、間違いなく一生万年平社員だったでしょう。頑張ってそつなく勤め続けたとしても、中年になれば「窓際族」として追いやられるか、それ以前に、リストラで辞めさせられていたと思います。

能力・実力もない凡人以下のくせに、そんな目に見えた「負け組み」の人生を送りたくありませんでした。私はバカなのに、なんてプライドの高い人間なんでしょう! いつもその性格には我ながら呆れています。

「米国に行って日本人という希少価値を利用すれば、私でもやっていけるかも知れない!」。また、「米国なら、日本で受けた劣等生扱いと違って、何か認めてもらえるかも知れない!」と逃げるような思いで渡米したのです。

 なんとか、奇跡的にクビにならずに、10年間2社のコンサルティング会社を勤めあげ、夢であった「国際ベンチャーコンサルタント」として、米国で独立しました。独立後、インキュベーション事業を始め、かかわった52社のうち、12社を上場、13社には他社との合併・買収(M&A)で応援させて頂けたことは、忘れられない貴重な体験です。

 その間、資金調達面においても、起業家への支援をさせて頂き、米国というスケールの大きな国ということもあり、調達支援総額は1000億円を有に超えました。それができたのは、「黄金の思い出」です。

 ですから、本書のタイトルが「……黄金ルール」になっているのは、凡人以下の私にとっては、その秘策を解き明かした意味でもあるのです。

「国際ベンチャーコンサルタント」とは、起業を国際的に支援し、上場やM&Aを仕掛け推進するプロを指し、私が、その存在を知ってからずっと憧れていた職業でもあります。

凡人以下である私が、普通の社長のお手伝いをし、どんどん上場させることができた時、上場に必要なのは能力ではなく、コツ、つまりルールを押さえてさえいればいいのがよくわかってきました。それを、日本実業出版社の大西さんが「起業の黄金ルール」と名づけてくれました。

この特殊な経験で得たルールを日本でも伝え広めたくて帰国し、「国際ベンチャーコンサルタント」業をやっています。おそらく、私は死ぬまでこのルールを使って、起業家を支援し続けていることでしょう。

本書に出てくるルールは、私や私のクライアント(顧客)、また友人の実体験です。そういうことから、かなり「人間臭さ」も出てしまっているかも知れません。


この本は、次の方々にぜひ読んで貰いたいです。

(1) 「起業すること」や「上場すること」が何であるかよくわからない人

(2) 就職・再就職するか、起業するかを悩んでいる人

(3) 仕事で悩み、将来が見えず起業も考え始めている人

(4) 起業したいが、勇気がなくてできないでいる人

(5) 起業家・社長に向かないと言われた人

(6) 起業することを周りから反対された人

(7) 凡人だから起業しても上場できないと思っている人

(8) 会社をクビになった人

(9) 会社を辞めたい人

(10)若過ぎてまだ起業・上場するには早いと思っている人

(11)高齢だから起業・上場できないと思っている人

(12)女性や外国人だから、起業・上場するのが難しいと思っ

ている人

(13)お金がないから起業・上場できないと思っている人

(14)起業したけど上場できないと思っている人

(15)上場して成功した起業家は自分より能力があると思って

いる人

(16)誰かに起業・上場させたいと思っている人

(17)起業・上場支援の仕方がわからない人

(18)既に会社を潰したか、今会社を潰しそうな人

(19)ベンチャーコンサルタントを目指している人

(20)起業や上場に関する本を書きたい人

(21)仕事を通じて人助けをしたい人

(22)経済の活性化に役立ちたい人


起業し上場できるかどうかにおいて、年齢・性別・学歴・経験・知識・出身・育った環

境等は一切関係ありません。必要なのは「勇気ある行動」のみです。

 もっと言いますと、「凡人でも起業でき、上場できる」のではなく、「凡人だから、凡人である社員のハートを掴むことができ、起業でき、上場できる」のです。

この本を読んで一人でも多くの人が、起業と上場に挑戦してもらえれば、著者としてこれほど嬉しいことはありません。

 長いようで短いたった一度の人生です。自分の可能性に賭けてみませんか? 自分のやりたいことに賭けてみませんか?

 起業で成功する秘訣は、「成功するまで失敗し続けること」です。成功した起業家は皆、そうしてきました。とにかく、あまり考え悩む前に「勇気」を搾り出し、「行動」あるのみです。

 ルールの内容をより理解して頂くために、過去私との接点があり、勝手に紹介させて頂いた次の企業や組織の関係者、特に創業者やトップ、経営陣・役員の方々には、この場を借りて心より感謝申し上げます。


 アップル・コンピュータ、アクセンチュア、IBM、アマゾン・ドット・コム、イー・アクセス、EDS、イオン、イオンファンタジー、伊藤園、イマジニア、インテル、HIS、エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ、エン・ジャパン、ヴァージン・グループ、ウォールマート、オムロン、オラクル、オンランプ、カネボウ、グーグル、クラブ・コーポ・インターナショナル、グッドウィル、KPMG、京セラ、ケンタッキー・フライド・チキン、現代人間科学研究所、ゴールドマン・サックス証券、コンパック・コンピュータ、サイバーエージェント、ザインエレクトロニクス、サウスウエスト航空、サン・マイクロシステムズ、サンリオ、CNN、ジャフコ、新生銀行、スターバックス、西武グループ、セブン&アイ・ホールディングス、ゼネラルエンジニアリング、ソフトブレーン、ソフトバンク、ソフトバンク・インベストメント、ソニー、ダイエー、タスコシステム、第二海援隊、TBS、テキサス大学経営大学院(ビジネススクール)、デル・コンピュータ、東京スター銀行、トラメル・クロウ、ドンキホーテ、ニッポン放送、日本アジア投資、日本経済新聞社、日本製粉、バークシャー・ハザウェイ、パソナ、プライスウォーターハウスクーパース、ヒューレット・パッカード、ファンケル、フォーバル、フジテレビ、ブックオフ、ブリンカー・インターナショナル、本田技研、マイカル、マイクロソフト、マクドナルド、松下電器産業、ミサワホーム、村上ファンド、メアリー・ケイ化粧品、メディアシーク、モルガン・スタンレー、ヤフー、USEN、ライブドア、楽天、レインウォーター・インク、ワタミ。


最後に20年以上に渡る日米アジアでの起業家に対する起業・上場支援の体験から一言。

 「絶対に上場させると決めた起業家こそが、凡人でも必ず上場できるのです!」