月次決算が必須であることは、上場準備に入った企業ならどこでもわかっている当たり前のことです。しかし、形式的な月次決算をしている企業ばかりで、本当に効果・効率の上がっている月次決算体制になっているところは少ないのです。

月次決算は、一ヶ月間の財務・経営結果を月末に数値で集め、次の月初にかけての短期間で、その全社的情報の集計と意思決定に役立つ分析を実施することです。ですので、社内の各部署はいつまでに何をすべきかを明確に把握していなければなりません。

 月次決算の期間は約10日だけですから、関連する部署はスピーディーに数値を集計し、経理部にそのデータを一元化する必要があります。もはや手作業では時間がかかり過ぎる上、間違えやすいことから、各部署のコンピュータ・システムを整え、スムーズに月次決算情報が収集できるよう体制作りをしなければなりません。

 営業部門で売上計上額を、製造部門で正しい原価計算をし原価の額を、そして経理部門で、各部門で報告されたデータの上に、本社での雑収入や経費などを合算させることで、全社的月次決算を実施します。私の知る限り、創業以来早期段階で月次決算体制を最も効果的効率的に確立したベンチャー企業は、ソフトバンクです。同社は、機能したかどうかは別として、日次決算をも挑戦しました。孫正義社長がスピード経営を重視したためです。

ベンチャー企業の経営の場合、スピードが勝負ですので、日々大きな決断をしなければなりません。従って、ソフトバンクのようにスピーディーな決算ができる企業は強いのです。ですから、ソフトバンクが一時期、毎週のように企業提携や合併・買収(M&A)ができた裏にはは、この効果的効率的な月次決算体制があったからなのです。

ベンチャー企業の宿命として、短期間で大企業にはできない急成長を遂げなければなりません。従って、楽天、ライブドア、USEN、サイバーエージェントのように他社との提携やM&Aはどんどん行う必要があります。そのためには、会計士・税理士事務所や監査法人からのアドバイスの下、効果的効率的は月次決算体制の早期確立は必須なのです。