IRとは英語のInvestor Relations の略で、日本語では「投資家への広報」と訳されます。いよいよ上場準備に入ったら、IR力が勝負です。残念ながら、どれだけIRが大切かをほとんどの起業家は理解していません。

 わかりやすく言うと、いかに自分の会社に将来性があり、成長できるかをアピールすることです。つまり将来会社の業績がよくなり、株価が上がり配当が増えることから、どれだけ投資する価値があるかを「具体的」、「客観的」、「合理的」、「タイムリー」、「スピーディー」に既存の投資家や投資家候補、またアナリストなど会社を分析・評価しそれを公表する立場にある人々に対して、会社のことを「正確」に伝える努力をすることです。その努力によって上場時に株式がスムーズに売れるか、また「高過ぎずかつ安過ぎず」の適切な株価がつくかが決まるのです。

 IR力は上場前も大事ですが、上場後はもっと大事になります。ポイントはいかに会社の業績を正しく反映した株価にするかです。

 欧米では、経営者が、IR力があるのはあたりまえになっています。逆に投資関係者と上手くやれるIR力があるから、経営者として選ばれるのです。中でも特に優れたIR力を持つ経営者には共通点があります。友人の中でも凄いIR力を持っているベンチャー経営者がいます。エンジャパンの越智通勝社長、イー・アクセスの千本倖生会長、イオンファンタジーの辻善則会長、ワタミグループの渡邉美樹代表などがそうです。

 彼らは、しっかりした経営哲学を持っています。元々ベンチャーで長期的計画が立て難いにもかかわらず、5年後、10年後、20年後などの具体的な、目標と計画を絶えず掲げ、それらを実現するための具体的な戦略・戦術・行動計画をも公表します。そして、それらを具体的・現実的な年間・月間・週間・日々の行動計画に落とし込みます。

 IR力は学べば身に付きますが、上場準備が始まると、スピーディーに実践しなければなりません。ですから、IR専門コンサルタントを上手く使うこともポイントになります。