今まで20年以上日米アジアで企業の上場支援をしてきて、問題なく上場できた会社は一社もありませんでした。創業して9ヶ月で上場できた会社、創業して3年で売上1000億円を計上し上場した会社等、順調だったようにまわりの方々は見られますが、毎日が戦争でした。一歩間違えれば、上場どころか会社の存続すら危なかったケースばかりです。

それは、弊社が応援してきた会社が不可能を可能にする気概で上場しようとしたからかも知れません。が、「法人」という生き物ですから、そもそも上場基準という狭い枠の中にはめ込むこと自体に無理があるのです。そうは言っても、大学に入いるにも、暗記と詰め込み主義でできた一律の入学試験をパスしなければなりません。まずは、戦場となる株式市場でも上場のルールがあるのですから、それをクリアーすることに全力を挙げましょう。

会社は上場のために創られ運営されているわけではありません。しかし、一度上場を決めたからには、役人的発想で作られた矛盾だらけの上場規定に合わせ、会社の経営管理体制や内部管理体制も再構築しなければならないと言うことです。これが、実に戦争状態となる大変な作業です。なぜなら、ヒト、モノ、カネ、情報が短期間で必要になるからです。

それを実行することに面白く思わない人々、特に創業メンバーも出てきます。そのケースは山ほどあります。返って事業で上手くいっている会社ほど、「こんなに会社は上手くいっているのに、なんで今無理して上場しなければならなのか!」と反対者や造反者が出てきます。これは上場する上での宿命です。理解できない石頭の人は必ず出て来ますから。

今絶好調のライブドアでさえ創業メンバーが堀江貴文社長の上場決断に大反対し、会社を去っていきました。また、米国で応援していたアマゾン・ドット・コムも物凄い勢いで伸びていたにもかかわらず、上場を決めてから社内外で大問題が次々と起こりました。

大成功したベンチャー企業でさえ大きな問題を抱え乗り越えてきました。専門家からは「これでは上場は無理です」と脅かされることでしょう。が、問題が出てきても動揺せず、解決することだけに専念してください。上場において乗り越えられない問題はありませんから。