上場準備が始まると、社内外が戦争状態になります。まず、上場基準を満たすだけの売上と利益を確保しなければいけません。そのためには、今まで通りガンガン売るのみならず、大型受注に繋がるように、大企業との業務提携などどんどん仕掛けていかなければなりません。と同時に、利益率も上げなければなりませんので、社内でのコスト削減や管理・事務面などの効率化も徹底しなければならないのです。

 上場のために、経営管理体制、更には内部管理体制の確立を含め、好むと好まざると様々な専門家が関わってきます。証券取引所、主幹事証券会社、監査法人、ベンチャー・キャピタル、銀行、投資銀行、会計士・税理士、弁護士、保険会社、IR(インベスター・リレーション: 投資家のための広報)コンサルタント、証券代行業者、印刷会社などです。彼らからの理解・支援・指導は上場において必要不可欠です。でないと上場できません。

社内的には、CFO(最高財務責任者)や管理本部長が中心となりとりまとめるのですが、それがなかなか難しいのです。と言うのは、上場に向けて難題を超スピーディーに対応・解決させていく中、外部からの問題まで処理しきれないのが実態だからです。そのため、CEO(最高経営責任者)もCFOもアップアップ状態となります。ですから、全体をコーディネートしてくれる外部の上場コンサルタントが必要になるのです。

上場コンサルタントは、会社のために、関わる様々な専門家や業者の意見・アドバイス・リクエスト・クレームを聞き、利害関係の調整をした上で、それらを関係者内に敵を作ることはなくスムーズに実行できるだけの能力や器がなければなりません。専門的な経験・知識・能力もさることながら、人間的に立派、要するに人格者でなければダメなのです。専門家として長けているのは当然ですが、人格者でなければ、経営者や社員、更には外部支援チーム(専門家や業者)が従わず、ついてきません。逆に上場の邪魔をされます。

弊社も日米で上場コンサルタントとしてお手伝いしてきたわけですが、一つひとつが真剣勝負でした。お陰さまで毎回専門家である前に、人間として成長させて頂いています。