CEO(最高経営責任者)、即ち社長であるあなたが頑張るのはあたりまえです。頑張るのを前提に起業したのですから。どんなベンチャー企業でも社長は頑張ります。ですから、大きく差がつくのが、COO(最高執行責任者)次第なのです。COOとは、日本の会社でのわかりやすい役職に直すと、参謀とか番頭とかになります。

 私も実はこのことに気付いたのは、弊社にCOOが来てからです。それまで、社長である私一人が社内で理解者も得られず、経営に奮闘していました。ところがある日突然弊社に「超」高収益企業である株主から、番頭となるCOOが送り込まれてきました。それからです、私が経営者として楽になったのは。

 正直言ってCOOが来てくれたお陰で、本来社長として、すべき仕事ができるようになりました。こんなにCOOが大事であるか、まったく気付きませんでした。うちだけなのかどうか知りたくて、第二次世界大戦後に急成長したベンチャー企業を調べてみました。  

アップル・コンピュータ、ウォールマート、EDS、マイクロソフト、サウスウエスト航空、松下電器産業、本田技研、ソニー、オムロン、京セラ、ソフトバンク、ワタミ、楽天、ライブドア、サイバーエージェント等々。急成長したベンチャー企業には、例外なく有能なCOOがいました。

それでは、なぜ、会社が急成長するためには、COOがいるのでしょう? これはCEO(最高経営責任者)、即ち社長をやった人なら皆、COOの存在がどれだけ助かり、有り難いかわかるはずです。COOは社長が出したビジョンや方針を実際に実行に移す人です。

よく「社長は孤独だ」と言われますが、その通りで、通常経営のことは誰にも相談できないのです。給料を出す側の社長と給料を受け取る側の社員は、立場上どうしても対立します。しかし、COOは雇われているものの、経営陣の一員でもあります。ですから、社長と社員の両方の気持ちがわかり、橋渡し的な存在になり得るのです。社長もCOOを信頼して指示を出せますし、社員も仲間であるCOOの言うことなら、素直に聞けるのです。