創業時に資金集めで苦労する起業家が多いようです。そして、せっかく集めた資金も通常の起業では半年も経てばなくなってしまいます。ですから、まだ会社は軌道にも乗っていないのに、また追加資金調達をしなければなりません。

 創業時の資金調達は、実は比較的簡単なのです。と言うのは、事業そのものがスタートしていない、もしくはスタートしたばかりですので、まだ結果が出る前であることから、志と将来の夢だけ語っていればいいのです。普通真剣に誠実に頼めば、同じ思いの人や親しい知人・友人・親族が応援の意味でお金を出してくれるものです。この時点で、もし誰もお金を出してくれないようでしたら、あなたは起業家としてまだまだ魅力と信用がなさ過ぎますので、それらがつくまで起業チャンスを待つべきです。

しかし、創業してある程度経つと、そろそろ夢と現実がかなりかけ離れ始めているのに、まわりの人々が気付き始めます。ですから、まともに再度同じように志と夢をぶち上げて出資や融資を頼もうものなら、「妄想者」か「詐欺師」扱いされてしまいます。

 ただ、そんな時でも、資金を簡単に集められる2つの方法があります。

まず、一つ目は資金集めが得意な人をCFO(最高財務責任者)として雇うのです。友人で先輩起業家でもあるイー・アクセス株式会社を1999年11月に創業した千本倖生会長兼CEO(最高経営責任者)は、大型資金調達のためもあり、起業と同時にゴールドマン・サックス証券でマエージング・ディレクターをしていたエリック・ガン氏を、CFOとして迎え入れました。そのため、意図も簡単に目標だった60億円を無事短期で集めてしまいました。その4年後、東証マザーズに、翌年、東証一部に上場したのです。

もう一つの資金調達の方法は、外部の資金調達のプロと組むのです。彼らは絶えず資金調達の支援をしていますから、様々な投資家や金融機関と親しくしています。私自身も過去を振り返ると、ベンチャー企業への資金調達支援総額は、ゆうに1200億円を越えています。結局資金が集まる最大の理由は、事業そのものではなく人の魅力と信用なのです。