起業コンサルティングを行う上で、できるだけクライアントにお願いしていることがあります。起業後速やかに、起業家であるあなたをアドバイス・支援してくれる外部専門家チームを結成してもらうことです。これは、米国ではほとんどの起業家が実行していますが、日本でやっている起業家はあまりいません。

 私が会社の立ち上げを最初からお手伝いする場合、まず、起業家に弁護士、公認会計士・税理士、社会保険労務士、弁理士などの専門家グループを紹介します。その上で、更に銀行、証券会社、保険会社、監査法人で、窓口となる担当者にも会ってもらいます。

ほとんどの起業家は不思議がります。「まだ会社を設立したばかりなのに、そんな外部専門家チームを紹介してもらっても、早過ぎて意味ないのでは?」と。しかし、外部専門家チームを起業家に紹介するタイミングは早い方がいいのです。

ベンチャー企業は「スピード経営」をしなければなりません。会社設立時にすぐにアドバイスや支援が必要ではないかも知れません。ただ、どのタイミングでどんなことを誰に相談すべきかぐらいは、最初から理解しておく必要があります。特に上場を目指している場合、それなりの事業シナリオや気をつけるべきことが会社設立時からあります。正式な仕事の依頼をするまで、外部専門家チームは喜んでボランティアでお手伝いしてくれます。ですから、アドバイスや支援を受けないのはもったいないことです。

私は設立して一年以内にスピード上場した会社のお手伝いをしたことがあります。その経験から、上場を目指している起業家の場合、会社設立当初の売上ゼロの状態から上場準備に入ることもあります。「うちなんか、いきなり短期で上場できるわけないですよ!」と経験のない起業家にはわかりません。が、最初から外部専門家チームを結成し、計画や事情を知ってもらった上でアドバイスや支援を得た場合、無理だと思っていたこともできるようになるのです。

ただし、初期段階から協力的に関わってもらうためには、外部専門家は、フットワークが良く融通性のある人でないといいアドバイスや支援は貰えません。