ある時、私は顧問先企業の社員でよく知ったかぶりをする人に出くわしました。その人といっしょに彼の会社の後輩と私が飲みに行った時のことです。彼が自信満々に言いました。

 「○○○○を語らしたら俺の右にでる者はいないぞ!」

 「先輩すごいですね! そんなに詳しいのですか?」

 「当たり前だよ。俺は歴史に強いんだから!」

 「じゃあ、なんで○○○○はあの時XXXXをしたのですか?」

 「△△△△だからだよ!」

 「え! すみません、私は、○○○○○と同郷で地元ですのでたまたま知っているのですが、○○○○があの時、XXXXをしたのは□□□□だからです。地元では有名な話です」

 「うるせえ! 俺が△△△△だと言ったら間違いないんだ!」

 「先輩、やめて下さい! 調べればすぐわかることですから……」

 なんとも気まずい会話です。先輩が知ったかぶりをしているのは、誰の目にも明確で、その場にいた後輩全員が、内心先輩を軽蔑するなり、バカにせざるを得ませんでした。

出世する人は絶対に知ったかぶりをしません。一方、知ったかぶりをする人はどこでもします。そうすると、このケースのように、自分より知っている人や本当のことを知っている人の前でも調子に乗って知ったかぶりをします。その瞬間、本当に知っている人は、知ったかぶりをする人の人間性を疑います。 

このようなことを、知ったかぶりする人がどんどんするわけですから、知ったかぶりをする人が、本当は正確なことを知らないのに知ったかぶりをしていることが、徐々にみんなに広まっていきます。知らないのは、本人だけで、「知らぬが仏」です。

私のまわりにも知ったかぶりをする人が過去何人もいました。知ったかぶりをする人は、出世する人に仕事では勝てないので、知識を見せびらかしてなんとか優位性を保とうとします。が、まわりからすると醜く映ります。返って評価を下げ、出世のチャンスを逃します。

逆に出世する人は謙虚なので、知らないことは正直に知らないと言い、誰に対しても教えを請います。ですので、出世する人はどんどん知識を増やしいよいよ力をつけていきます。ですから、出世を目指すなら、どんな時も絶対に知ったかぶりをしてはいけません。