出世する人は、職場を非常に大事にしています。単に出世したいからではありません。職場を人間としての貴重な「人生の修行の場」と捉えているからです。
入社は同じ時だったのに、ある人はどんどん出世し、ある人はなかなか昇進しません。一体何が違うのでしょうか?
多少能力の差はあるのかも知れません。しかし、そんな差は、出世には大した影響を与えません。出世する人は、職場は自分が成長できる場と決め、一生懸命職場で修行する中で様々な人から色々なことを学びます。
その積極的で前向きかつ謙虚な姿勢が、まわりの人に高く評価され、どんどん出世するのです。ですから、職場での仕事に対する姿勢が重要になるのです。
確かに真剣に働けば働くほど、責任やまわりとの摩擦も増え大変になります。職場ではいい加減なことや矛盾点が結構多いのですが、もし真剣にやっていけば、その問題と矛盾だらけであることでなかなか理想や理論通りいかず葛藤します。そして、何とかよくしようと努力はしますが、頑張れば頑張るほど叩かれ、ことなかれ主義のグループから孤立します。
私が米国で勤めていた大手国際会計・経営コンサルティング会社、KPMGで、「超」優秀で出世頭のアメリカ人上司は、あまりにも謙虚でしたので当初不思議に思いました。他の理由があるのではと憶測せざるを得ないくらい謙虚だったのです。
後でわかったのですが、それは彼の生き方で、職場を人間にとって最高の修行の道場であると決め、そのように言動・実践されていたのです。悲しいかな、凡人である私は彼といっしょに働いていた時でも、そこまで腹を決めて働いていたことに気づきませんでした。ただ単に自分とは違う立派な人だということで、敬意の目で見ているだけでした。
今から思うと、彼は相当努力し毎日自己に挑戦していたのです。私がその会社を辞める時に初めて彼は、お別れの会食会で語ってくれました。
「職場は人間修行の最高の道場です。君は、これから、うちを辞めて新しい会社に入ることから職場は変わるけれども、道場で修行するということは同じです」
まさか、アメリカ人から「職場=道場」という言葉を聞くとは思いもよりませんでした。