米国や中国でスピード出世する人の時間管理は凄いものがあります。おそらく、両国とも国土が大きいので、日本以上に移動に時間がかかるため、限られた時間内で手際よくスピーディーに仕事をこなさなければならないからではないかと思っています。

 私が米国で勤めていた大手国際会計・経営コンサルティング会社、プライス・ウオーターハウスでの上司の一人であり、社内でも出世頭として有名だったウッドリン・グロスマン氏は、時間管理のプロ中のプロでした。彼は同社で、若くしてヘルスケア(病院や医薬品関連)コンサルティング部門のトップになりました。ですので、全米に散らばる数多くのクライアントとの会議のため、毎日のように飛行機で移動していました。

 移動中グロスマンさんは、私に電話してきて、色々な仕事の指示を出します。その指示の出し方が見事でした。まず、仕事の目的を最初に言います。そして、そのためにいつまでに何をすればよいのか、また、質問があれば誰に相談すればよいのかなどかなり具体的かつ細かい説明をした後、再度確認のため私がやるべきことをポイントとして話してくれます。ですので、私も、彼の指示を間違えることはまったくありませんでした。

 ニューヨーク、フィラデルフィア、ワシントンDC、マイアミ、シカゴ、デンバー、ヒューストン、シアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴ等等、グロスマンさんは毎回違うところから私に電話してきます。一番感動したのは、彼のご長男が重度の身体障害者であるため、土日や祭日はできるだけ家族と過ごされていたことです。それを奥様はとても感謝されていました。仕事だけでもとてつもない量をこなしておられましたが、私や他の部下にもとても気を使われ、時間を作っては食事に誘い我々の相談に乗ってくれます。

 彼は、我々と会議した際は、誰がいつまでに何をするか、またどのタイミングでその進捗状況をチェックし、その時点で問題点があればどうするかを具体的に素早く決めていきます。また、物事を決める際は、まず我々部下の意見を聞き、受け入れようと努力されていました。

 ある時、グロスマン氏にどうしたら彼みたいに時間管理のプロになれるかを聞きました。

ポイントは、早朝にその日一日の綿密なスケジュールを立て、その後三十分おきにスケジュール通りできているかをチェックするとのこと。私もその通り実行したら効果抜群でした。