同じように就職し職場環境は大して変わらないのに、ある人は、何か問題が起こる度に戸惑い厭になり、その現実から逃げようとします。ある人は、俄然とその問題に挑戦し乗り越えていこうとします。どうしてこの差がくるのでしょう? 

私は、人生は死ぬまで試練と苦労の連続だと思っています。悩みのない人などこの世にいません。米国にいた頃、個人資産数千億円から数兆円ある五人の大富豪の顧問をしていたので、彼らの思考経路やプライベートな部分もかなり知ることができました。

それだけ大金を持っているのですから、さぞかし幸せに暮しているのだろうと思いきや、物質的には恵まれていても、精神的にはかなり辛い思いをされていました。経済的に大成功した彼らを通して思いました。「人間は何事にも挑戦する気持ちがなくなったら、成長どころか、後退していく」と。

出世する人は、挑戦意欲が普通の人よりかなりあります。つまり、どんなに成果を出し、昇進したとしても、それだけでは満足しません。最終ゴールがトップに着くことですから、更に挑戦・努力し、もっと大きな成果を出せるよう再度努力を始めます。

以前米国で働いていた、国際会計・経営コンサルティング会社、KPMGやプライスウォーターハウスでも、スピード出世していた人達は、何事においてもへこたれず、挑戦し続ける根性と気概をもっていました。近くで見ていて、そんな挑戦を続けられる人達には、「出世オーラ」のようなものを感じさせられました。

 案の定彼らはその後も恐ろしいスピードでどんどん出世していきました。しかし、上に行けば行くほど、難題が待ち構えています。実はその難題も昇進すればどんどん問題として大きくなっていきます。その時に、「なんだ、この組織(会社)は! なってないよ! 私一人挑戦し続けても無駄だなあ…」

 当時私のまわりにいた、出世できない「負け組」人間達はそのように受け取っていました。 それはまったくお門違いで、むしろ逆です。折角の昇進の機会を逃しています。大変な状況だからこそ、評論や非難は止め、明日以降に向かい、目標実現のために生きていけばいいのです。そんな挑戦し続ける人に結果が出るのは時間の問題です。まわりがほっとかないので。