ある時、クライアントである顧問先企業の社長さんからしみじみ言われました。

 「浜口社長って、めちゃくちゃ歩くの速いですよね~ 私も学生時代、陸上競技やってたから、歩くの速い方ですが、浜口社長には負けます。なんか、その歩き方、見ていると、一瞬たりとも時間を無駄にせず、何事にも全力でやる生き方が出てますね…」

 「え! そうですか? 気が付きませんでした… 今度他の人にも聞いてみます。」

 まわりの人に聞いたら、全員が同じ意見です。確かに私は歩くのが速いです。速いのはわかっていたのですが、クライアントにまで指摘される程早いとは思っていませんでした。

実は私の歩くのが速いのには、わけがあります。小学生時から競泳選手として、東京文京区駒込にある「東京スイミング・センター」というスイミング・クラブに長年毎日通っていました。そこは、平泳ぎのオリンピック金メダリストで有名な北島耕介選手を始め、数々のオリンピック選手を輩出した、日本でも厳しいスポーツクラブです。私の担当コーチも、青木先生と言う方で、日本を代表する「競泳オリンピック強化コーチ」でもありました。

そんな方ですので、私は青木先生に絶大なる尊敬をし、言われる通り、毎日練習に励んでいました。ある時、青木先生がいつもの気合いと迫力満点の声で一言。

「おいこらー、浜口。お前は脚力が弱過ぎるぞ! だからいつまでたっても記録が伸びないだ! これから、歩く時はいつも全速力で歩け! いいかわかったな!」 

「はっ、はい~、 青木先生、わかりました!」

小学校五年生の時でした。それから、歩く時は、全速力で歩くようになり、癖になってしました。それでも、競泳を完全に引退した大学生の時は、のんびり過ごしていたこともあり、一時期ゆっくりタラタラと歩くようになりました。しかし、「国際経営コンサルタント」になると決め、あまりにも自分のレベルが低すぎて、一生かかっても一流になれないかも知れないことがわかってから、一瞬たりとも時間を無駄にしたくなくなり、歩く速さが、目標に向かって一途に生きていた競泳選手時代に戻ってしまいました。私と歩く人は大変迷惑していると思います。しかし、そのお陰でスピード出世でき、青木先生にも感謝しています。出世したければ、早く歩いてみることをお薦めします。生き方が前向きになりますから。