「ほっといて下さいよー。成果を出せばいいんですよね?」

 「何! 君だけ成果出してもダメだよ! チーム全体で成果出せなきゃ! 何のためにチームをつくったのかわからないよ! そもそも君はチームの中心者じゃないか? 君がみんなをまとめて全員に頑張ってもらうようにしなければ、大きな成果はでないよ! 一人でできることなんて限られているから・・・」

 あるゲームソフト開発会社での出来事です。個人的にはできるチームリーダーですが、チームワークが苦手な上、技術的に優秀過ぎてチームメンバーのレベルの低さにいっしょに仕事するのに嫌気がさしているとのこと。

 困った部長が何とかチームワークで仕事をさせようと説得するのですが、当の本人は聞く耳を持ちません。

 このケースの問題点は明らかです。チームリーダーがチームの大事さを理解していないのです。一人で何でもできると勘違いしています。

 チームも小さい単位の組織です。でも、なぜ組織が必要なのかを理解していない人がよくいます。

 確かに有能な人は一人でかなりのことはできます。しかし、一人ですべてはできませんし、団結したチームの力には勝てません。つまり、いかに優秀でも、一人の人ができることは本当に限られており、大したことはできないのです。

 歴史的に偉業を成した人は、例え個人的な仕事でも自分一人の力でできたとは思っていません。ノーベル賞を含め、偉大な賞を受賞する人は必ず言います。

 「受賞できたのは自分の力ではなく、支援してくれたまわりの方々のお陰です」と。

 もし、何かで大きな成果を出したければ、組織を利用すべきです。一人で好きなことや得意なことをやれば、一時的には成果は出るかも知れません。しかし、継続的には無理ですし、大きな成果にはなりません。

長期的に成果を出すのには、人格を高め総合的な人間力が必須です。そのためには、組織が必要で人から揉まれ苦労し、人間性を高め魅力ある人間にならなければなりません。