
・・・・・以下、本文転載・・・・・
―地元の名店―
果物をもっと身近に
店の外にまであふれだす芳醇な香り。
ずらりと姿を並べる色とりどりの果物たち。
そしてそれに誘われるかのように、
とめどなく入っていく買い物客の姿。
都島にある「フルーツはまちゃん」の日常風景だ。
1日に900人ほどの客が来るのは当たり前、
多い時には1000人を越えることもあるという。
路面店が減り、商店街が消えていくこの時代にはなかなか見られない光景だ。
「来てもらってなんぼやからなぁ」と店主の濱崎さんは笑う。
店をオープンして3年、「果物をもっと距離の近いものにしたい」
その思いから開店を決意。
その人気は口コミでどんどん広まり今や
レジには列ができるほどの人気店に成長した。
しかし濱崎さんは日々悩んでいるという。
「自分がお客さんの立場になって毎日考えている。
どうすれば果物をもっとお客さんに近づけられるか、
どうすればもっと喜んでもらえるか」と。
中央市場に長く勤めた経験から果物を選ぶ目は確かだ。
店内に並ぶ色鮮やかな果物も誇らしげに活き活きとして見える。
しかし値段は格別に安い。
みかんは1個40円、
時期によっては10円で販売することも。バナナは毎日1カット50円だ。
「果物って何となく敷居が高いやろ?贅沢じゃないけど必需品じゃないしな」。
その通り。
更にどれがおいしいのか素人ではいまいち見分けもつかない。
ゆえに手が伸びないのだ。
特に若い世代は。
「でも貰ったらうれしいやろ?」と濱崎さんは話す。
そうそう、果物ってそういうもの。
わざわざ買わないけどもらったらちょっとうれしい。
「だから近いものにしたいと思ってん。
自分が子どもの時はもっと家の中に果物があった。
そういう記憶を今の子にももっと欲しい」。
店では子どもにバナナとラムネをくれる。
道行く子どもに売り物のいちごを食べさせてあげることも。
これも
「子どもにいっぱい来て欲しい、
いっぱい果物を食べて欲しい」
という思いから始めたサービスだ。
子どもにとって楽しい店。
それはすなわち母親にとっても楽しい店だ。
子どもが愚図らないというだけで買い物は随分楽なものだから。
今では自転車に乗せられた子どもが通りすがりに
「はまちゃん行くー!」と叫ぶのが聞こえることもあるという。
「そういうのが一番うれしいな!」と濱崎さん。
客との距離が近いのも特徴だろう。
「これどっちがおいしいのん?」と叫ぶおばちゃんに
「そっちはまだアカン、買うんやったらこっちにしとき」というやり取り。
現代では中々見られないだろう。
「今日は変な天気やなぁ」。
大切でしょう?こういうの。
これだけ流行ってるのすごいですね!そう問いかけてみた。
「いや、まだまだやと思ってんねん」との答え。
「もっともっと近いものにしたい。
産地に近い売り方とか新鮮さとか。
そういうのもっと追究したい。
安くてもおいしなかったらお客さん買わへんしな!
お盆とか年末とか田舎に帰る時にあそこで買って帰ろうって
思いついてもらえる店にしたいねん」。
人と果物が溢れる店。笑顔と元気をもらえる店。それが「フルーツはまちゃん」なのだ。
