エジプトの近世はオスマン帝国の属州ながら、ナポレオン戦争以降に半独立状態となり、ムハンマド・アリー朝の世襲体制で独自に近代化が図られました。
オスマン本国の通貨と別れ、独自通貨体制のコインが作られたのは、1834年にマリアテレジアテーラー(20キルシュ相当)に基づく金銀複本位制が敷かれてからで、その後イギリスの強い影響下で金本位ポンド体制が確立し、1エジプト£=0.975英£のレートで長く安定した通貨を発行し続けました。
1914年完全にイギリス支配下になるまではオスマン帝のトゥグラを使用、英語表示併用コインを挟み1922年に王国として独立し肖像コインが登場しています。
1953年共和国、1958年アラブ連合、1971年エジプト・アラブ共和国と国号を変え、変化に富んだコインが作られてきました。
キルシュは、エジプト方言でエルシュと発音しますが、トルコのクルシュのアラビア語読みで独グロッシェンと同源の『厚い』銀貨の意味からきています。
この回では最も好きな国の名目オスマン属領時代のコインのみで金種別に紹介しますが、ほぼ全てトゥグラと文字のみとシンプルで、これぞアラビアのコインという感じです。
価値が安定した通貨で長きに使用された為、状態の良いコインがなかなかありません。
※1/20キルシュ青銅貨 1327(4)年H =2パラ
※1/10キルシュ白銅貨 1327(6)年H =4パラ
※2/10キルシュ白銅貨 1293(29)年 =8パラ
※10パラ青銅貨1277(10)年
※20パラ青銅貨1277(9)年
※5/10キルシュ白銅貨 1293(29)年 =20パラ
※40パラ青銅貨1277(10)年 =1キルシュ
※1キルシュ銀貨 1293(10)年w
※1キルシュ白銅貨 1327(6)年
※5キルシュ銀貨1277(4)年 .833 6.8g
※10キルシュ銀貨1293(33)年H .833 14.0g
※20キルシュ銀貨1293(29)年w .833 28.0g
※50キルシュ金貨 1255(3)年 .875 4.274g
※100キルシュ金貨 1293(12)年 .875 8.5g