(第一章・逮捕)
だれかがヨーゼフKを中傷したに違いなかった。
※中傷/verleumdet→verruhren/かき混ぜる
《だれかがヨーゼフKをK(の運命を)かき混ぜたに違いなかった。
なぜなら、なにも悪いことをした覚えがないのにある朝逮捕されたからである。
※悪いこと/Bose→Busse/賠償、懺悔、贖罪
逮捕/verhaftet→verfalltag/満期日
逮捕をなぜ、verhaftetとするのだろうか?Verhaftung、Verhaft、Verhaftenではないか。verhaftetである必然性・・・verhaftet/(人に)義務を負っている、「死=義務を負う」としたら何の義務なのか。
なぜなら、何も罪をあがなっていないのにある朝、満期日(最後の一日→死)が訪れたからである。
〈なにも悪いことをした覚えがないのに〉
彼に部屋を課しているグルーバッハ夫人の料理女が、いつもは八時ごろ朝食を運んでくるのに、この日にかぎってやってこなかった。
※料理女/Kochin→Cousin/従姉
あとから登場する大尉はグルーバッハ夫人の甥、この料理女もたぶん血族。
父、母、子・・・何らかの生命連鎖の任意の点である人物。
こんなことは一度もなかった。
※こんなことは一度もない日、それこそが死に至る日の状況。
枕に頭をつけたまま、向かいの家の住む老婆がなみなみならぬ好奇心をみせてこっちを観察しているのを見ていて、
※老女/alte Frau→altvater/祖先
(枕に頭をつけたまま)ベットに横になっているつぃか考えられないが、老婆はもっとひどい年寄りをひっぱってきて、抱えてみさせたり、さらには、とんがりひげのうしろに姿をかくしたりするくらいだから、ベットに横になっているとは考えにくい。
◎老女の血縁のずっと未来の、つまり子孫であるKになみなみならぬ好奇心を示したということか。
いぶかしくもあれば腹も空いてきたのでベルを鳴らした。
※いぶかしい/befremedet→befrendet/親しい
(老婆に)親しい気持ちもあるが、とりあえず腹が空いたのでベルを鳴らした、しかしこのベルは「死」へのベルなのである。
痩せているががっしるしたからだつき、ぴったり身についた黒服を着ている。
※痩せている/schlank→Schlang/蛇のように陰険な人
がっしりした/gebaut→Geburt/誕生、発生、血筋、起源
ぴったり/anliegendes→liegend/死んだ
黒い/schwarzes→Schwanzeln/犬が尾をふる
《蛇のように陰険に見えるが、わたし(K)の起源(祖先)である(人)、つまりその人はまぎれもなく犬ではない!人である。》
◎キノスラはギリシャ語で「犬の尾」という意味を持ち、こぐま座(現在の北極星ポラリスの別名やかつては(こぐま座)全体を指していた名称である。
旅行服に似ていろんなひだやポケット、留め金、ボタンにベルトまで付いているので、何の役に立つのかはわからなかったがしごく実用的に見えた。
※ひだ/Falten→fallen/光が差す
ポケット/Taschen→Tausch/交換(あの世とこの世の交換点)
留め金/schnallen→schnapp/食いつくこと
ベルト/Gurtel→(処女と関係する)
☆この物語は「食」が隠れている。
聖女マリアの衆所懐胎の論議は、太陽・月・地球の引き起こす「食」の寓話によって是非を証明するものである。