彼はビュルストナーがただのタイピストであって、彼に長くは抵抗できないはずだということもよく知っていた。
※タイピスト/Schreibmaschinenfraulein→Schneimaschine/包丁
《彼はビュルストナーがただの包丁、つまり、おとめ座のスピカというのは(尖ったもの)という意味らしい。針を包丁に置き換えたのか。
であって、遠くの星であれば彼(太陽)には長くは抵抗できないことを知っていた。(太陽の光には敵わない)》
ビュルストナーのことでグルーバッハ夫人から聞いていたことを、彼はそのさいわざと考慮にいれないでいた。
※ビュルストナーのことでグルーバッハ夫人から聞いていたこと→「今月になってわたしはもう二度も、ずっと離れた通りで、そのたんびに彼女が違う男といっしょなのを見かけました(第一章・グルーバッハ夫人のセリフ)
☆おとめ座の「聖女マリア伝説」、つまり処女懐胎の否定であるから、このさいグルーバッハ夫人の疑いは外さないと…。
モンタークの小さな笑い声。
※Kleines/小さな笑い・第四章
Lachen/うすら笑い、Grinsen/うすら笑い、にやにや笑う・第一章
Grinsen→Gleichni/肖像画、寓話を暗示
これはカミナーの薄笑いと同じかもしれない(精霊がマリアの中にはいって子を宿すのだから)
☆kleines Lachen/小さな笑い・第四章のフレーズにも〈gleich〉をすぐにという意味で使っているが〈gleichsen〉肖像画、寓話を暗示していると思う。(聖母マリアの肖像が、寓話を暗示)
小さな笑い声を耳にすると、これはひょっとすると大尉もモンタークも二人ともびっくりさせてやることができるかもしれぬぞとおもいついた。
※びっくりさせる/Uberraschung→Uberlieferung/伝説、口伝
《聖母マリアの声を聞いたとおもったとき、これはひょっとすると大尉(父なるもの)もモンターク(母なるもの)も伝説だは内科と思いついた。》
彼はあたりを見回し、どこかまわりの部屋から邪魔が入りはしないかと聞き耳をたてた。
※邪魔/Storung→Schopfen/創造主、神、創作者
《彼はあたりを見回し、どこかまわりの部屋から創作者(伝説の)が入りはしないかと聞き耳をたてた。》
台所に通じる通路からグルーバッハ夫人の声が聞こえてくるだけだった。
※《食》を作る場所、台所からというのは?
Kはビュルストナーの部屋のドアまでゆき、軽くノックした。
このあとB、もう一度たたき、さらに前より強くノックするが、いくらたたいても何の効果もないのである。
ノック/klopfte→klopf/呼び鈴を鳴らす、ベルを鳴らすは「死」を意味する。
※効果/gefuhl→gefahr/危険
☆要するに、何度ノック(死)しても効果(死への危険)がなかった。
なにかひどくふ頭でしかも余計なことをしているという感情もなくはなかったが、
※不当/unrechtes→Unlust/気が進まない
余計なこと/nutzloses→nuturlich/自然の、あたりまえの
《なにかひどく気が進まず、しかしあたりまえのことをしているという感情もなくはなかった。》
用心深くそっとドアをあけた。
※用心深く/vorsichtig→Vorsehung/予見、あらかじめの配慮
《あらかじめの配慮によってそっとドアを開けた。》