モンタークはまだ完全には信用ならないというように二、三歩彼を追った。

※信用/vertraue→vertrern/悲嘆のうちに過ごす

《モンターク(母なるもの)まだ完全に悲嘆にくれていないというように二、三歩彼を追った》つまりこれは皆既日食のあと、太陽(K)のほうがわずかに先にゆき、後を月(モンターク)が追うように見えることを擬人的に表現したのだと思う。

 

というのはそのときドアが開いて霊のランツ大尉が入って来たのだ。

※大尉の部屋で物音がしたときやっと彼は目をあげた(第一章/月食の直後)

 つまり月食にしろ日食にしろ大尉(太陽、Kであり、フランツでありランツであるところの)が登場するのである。グルーバッハ夫人は決定権を持っているかもしれない、モンタークさんは支配権を持とうとしたかもしれない、しかし決してはずせない絶対的な存在は太陽なのである。

カフカはその三者を三者すべてが決定権、支配権を有する絶対的な存在であると暗示しておきながら、大尉はグルーバッハ夫人の甥であり、モンタークはグルーバッハ夫人の下宿人であるというようにその位置づけは混乱を余儀なくされ、グルーバッハ夫人はKに告げ口をするといった描き方をする。(混乱)を見据えると「平等、同位格」が、やがて不動のものとして厳然と浮上してくるという書き方をしている。

 

Kはこの男をこんなに間近に見るのは初めてだった。(お父さんなんだけど)

 

これはよく陽焼けした肉付きのいい顔の四十がらみの大男だった。

※陽焼けした/braunrannten→Brunnen/源泉

☆これは太陽、年齢も四十五億年で四十がらみというわけ。第一章に出てきた大男というのも共通)

 

彼はKもふくめた二人にかるく会釈をし、次にモンタークに近づいてうやうやしくその手にキスした。そういった動作にはなかなか世慣れたものがあった。

※世慣れた/gewandt→Gewende‣回転、裏返し

 動作/Bewegungen→Beweinung/悲しみ嘆く

《その裏には嘆き悲しみがあった/K・息子の死を迎えているのだから)

 

モンタークにたいする枯野低調な態度は、彼女がKから受けた扱いと好対照をなしていた。

※彼(夫)とK(息子の違い)

 

にもかかわらずモンタークはKに腹を立てているわけではないらしかった。というのは、彼女は彼に大尉を紹介しようとさえした、「お父さんですよ」と

 

大尉にたいしてももんたーくにたいしても愛想よくすることなどできそうになかった。そのうえ、いまの手へのキスが彼女を一つのグループに結びつけてしまった。

※家族、生命の基本的存在

 

外見は極度の無寂と無欲をよそおいながら結局は自分をビュルストナーからひき離したがっている仲間に。

※無邪気/Harmlosikeit→Farblossikeit/公正

 無欲/Uneigenntzigkeit→Uneigeschrannkt/拘束のない

 遠ざけておく/abhalten→anhalten/止める

《見たところ、たいへん公正(平等)で高速のない(自由)をもってビュルストナー(天の三位一体、母なるもの)のところへとめておこうとしていることが見てとれた。

 

モンタークが実に巧みに両刃的な手段を選んだことも認識してた。

※手段/Mittel(中心)

《モンターク(月)が実はかなり巧みに太陽と地球の中心を選んだことも認識していた》

 

彼女はKとビュルストナーとの関係の意味を誇張してみせた、なかんずく彼が求めた話し合いの意味を誇張してみせて、しかも同時にそれを、あたかもすべてを誇張しているのはKのほうだという具合にしむけようとしていた。いまにがっかりさせてやるぞ、おれは何も誇張なんかしていない、とKは思った。

※誇張/ubertrien→ubertragen/書き換える

《彼女はKとビュルストナーとの関係の意味を書き換えて見せた、なかんずく彼が求めた話し合いの意味を言い換えて見せて、しかも同時にそれを、あたかもすべてを思い違いしているのはKのほうだという具合にしむけようとしていた。》

☆モンタークはK(子なるもの)とビュルストナー(おとめ座・聖母マリア伝説)の意味を天空の現象(日食(に置き換えて見せ、しかもそれをあたかもすべて思い違いをしているのはKのほうだという具合にしむけようとしていた。