あなたはわたしの友だちに文書ないし口頭での話し合いを要求されたわね。ところがわたしの友だちはこの話し合いが何のことかしっている。

※話し合い/Unterredung→unser Liebe/聖母マリア

《聖母マリア伝説については書物、口伝、説話のかたちで現在に至るまで語り伝えられていることをわたしの友だちはしっている。

 

わたしがこの話を聞いたのはついきのうのことで、それもちらっと聞いただけです。

※きのう/gestrm→Gestirm/天体、星座

 ちらっと/fluchtig→fluchen/冒涜する、(神を)ののしる

《わたしが「聖母マリア」の話を聞いたのは天体のことで、それも(神を)ののしる内容でした。

 

「あなただってこんな話し合いをそう重大視しているわけではなかろう、なぜってあなたはほんの偶然からそんなことを思いついたにちがいないし、だからとくに説明しなくても、自分で、たとえいますぐじゃないとしても、こういったこと全体の無意味さに気がつくだろうって。」

※偶然/Zufall→zusammen fallen/(光線が)合する、 zusammen kunft/(天)二個以上の天体の合

 そうかもしれない/richtig sein mags→Licht/光・天体、magd/おとめ、処女

 

しかしことを完全に明らかにするためには

※完全に/Vollstandigen→Vollstandigen Fensternis/皆既日食

 

だからこの場合みたいにすぐ片がつく場合にはさっさとそうしたほうがいいんです。

※場合/Falle→Holle/地獄、冥府

 片がつく/besichtigen→視察する、見学する

 そうしたほうが/geschehn/→偶然に起こる

《だから冥府を見学するならば偶然起きる(見える)ときに見学したほうがいいんです。》

☆これがモンタークのビュルストナーに川って答えたKに対する返事なのである。つまり文書ないし口伝での「聖母マリア伝説」の遠回しな否定。

 おとめ座も月も(天空はあるがまま)であるが、「人間の誕生」はこの宇宙の極めてまれな驚くべき出来事である。それはあたかも皆既日食に等しい現象でもあり、それほどの尊い命がいわれのない差別で汚され精神を著しく傷つけられたままでは冥府(宇宙、超自然)へは入れない。

 

あなたはほんの偶然からそんなことを思いついたにちがいないし、

※ほんの偶然→月食

 月食の赤道色のドアこそが(死)の入口であり、そこに立って初めて太陽(父、大尉)と月(ここの明り、母、モンターク)の間に地球(グルーバッハ夫人、母)が位置する(決定権)とき冥府のドアが開くということに気づいたのではないか。それは天の父母との遭遇でもある。

 だからこそビュルストナー(天界の大いなる母)の処女懐胎への疑問が募ったのではないか。

 第一章での最後(大尉を考えると彼はビュルストナーのことが心配でならなかった)と。