そのドアを彼はノックもせずにおしあけた。
※おしあけた/aufriss/ひっぱる、裂く→Aufriss/投影図
《彼(太陽の化身、K)はドアとなるべき投影図を引いた(彼によって日食の投影図は完成する)
そこは非常になが細い、窓がひとつしかない部屋だった。ドア側の角にはやっと戸棚を二つ斜めに置けるだけの余地しかなかったし、のこりの空間は全部ながい食卓で占められてた。
※窓は太陽、ドアは地球側から日食(月と太陽)を見たときの円い輪。
ななめの二つの戸棚は(地球)と(月)
ながい食卓は(月)の範囲
食堂、食卓、食器、朝食、昼食…食の連呼
第一章では《月食》だったが、(彼が今日夕食をとらなかったのも)
窓が一つしかない/einfenstriges・・・ein/一つ、riges→Ring(輪)
全部/vollstanding→vollstanding Finsternis/皆既日食
その食卓がドアの近くから大きな窓のすぐそばまで達しているために、窓にはほとんど手がとどきかねるほどであった。
※食卓/Tisches/→食べる、食の暗示
Kが入るとモンタークは窓ぎわから食卓の一方にそってKのほうに歩いてきた。
※重力界でのスケールは計りかねる。二人は霊界の浮遊する太陽、月の化身である。
ふたりとも無言で挨拶をかわした。
※無言/stumm→stamm/血族、家族
(二人とも(家族としての)挨拶をかわした。
それからモンタークがいつものように異常に頭をそらせて言った。
※モンターク(月)がいつものように異常に頭を反らせて(三日月をイメージ)
「わたしのことをご存じかどうかしりませんけど。」
※よく知っている、母なる人だから。
Kは目を細めて彼女を見つめた。
※目を細めて/zusammengezogenen/いっしょに移動
「あなたはもうかなりながいことぐるーばっはさんのとこにいる方ですからね。」
※月(モンターク)はもう長いこと地球(グルーバッハ夫人)のところにいる。
「でも、下宿のことなぞあまり気になさらない方だとおもってましたけど」
※下宿/Pension→Passion/苦難、受難
《でもキリストの受難のことなどあまり気にしてないと思いましたけど。」
「おかけになりませんか」とモンタークは言った。
かれらはどっちも食滝の一番端にあった椅子をひきだして、むかいあって腰をおろした。(月と太陽だから涼橋
というのはHandバックを窓ぎわに置き忘れてきたので、とりに行かねばならなかったのだ。彼女は部屋中をずるずる足をひきずっていった。ハンドバックをかるく揺すりながら戻ってくるとすぐ言った。
※ハンドバック/Handtashchen→Tisch/食堂。
足をひきずって/schleifte→hinschleppen/足をひきずって
揺すりながら/schwenken→schwer/重い
「わたしはどちらかといえば局外者の立場ですから」
※否、中心人物である。
モンタークは月(聖母マリア)であり、今話している主要テーマはマリアの処女懐胎という(伝説)についてなのだから。
内心ではモンタークの目がたえず自分の唇のそそがれていることにうんざりしていた。
彼女はそうすることで彼がこれから言おうとすることにたいし、あらかじめ支配力を手にいれておこうとおもっているんだろう、
※支配力、なる程日食というのは太陽咄地球の間に(月)が入りこむことであり月が支配力を持つわけ。月食のとき(第一章)はグルーバッハ夫人(地球)が(決定権)を持っていた。
「つまりビュルストナーさん(おとめ座、聖母マリア)はご自分のくちからはっきりへんじをするのはいやだというわけですね、ぼくはそう頼んでいたんですが。」
「そういうことです、あるいはまったくそうじゃないかもしれない、あなたはばかにはっきりと言う人ね。一般的な言い方をすれば返事をすることが肯定されたわけでもその反対が起こったわけでもありません。ただ返事を不必要とみなすことだって起こりうるわけで、この場合はそうだというわけです。」
※返事をする/Aussprachen→ausstrahlen/光や熱などを放射する
不必要→ぜひ必要/notwendig→Notredame(聖母マリア)
《そういうことです、あるはまったくそうじゃないかもしれない、あなたがばかにはっきり言う人ね。一般的な言い方をすれば光を放出することが肯定されたわけでも、その反対が起こったわけでもありません。ただ光を放出することがせいぼまりあでないとみなすことだって起こりうるわけで、この場合がそうだというわけです。」
☆つまり《あるがまま》ということだと思う。