「きのうからここにグルーバッハさんの甥が寝ているのよ、大尉が。」
※グルーバッハ(地球)の甥って何だろう?
甥/Neffe→Nahe/近いこと
地球の一番近いのは月。
「ぼくは出ていきませんよ」とKは言った、「あなたが少し落ち着きを取り戻すまではね。部屋のむこうの隅にいきましょう、あそこなら彼にきかれることもない。」
※「隅」、おとめ座のべーター星は(かど)または(隅))。『星座ガイドブック春夏遍』参照・誠文堂新光社)
「なるほど不愉快なことには違いないが、決して身の危険が問題になってるわけじゃない」
「この件で決定権をもってるのは(略)グルーバッハさんだ、ところが彼女はぼくを尊敬しているといってもいいくらいだし、ごくのいうことならすべて無条件に信用するんです。それに彼女はほかの点でもぼくからはなれられないんだ、というのはかなりな金額をぼくから借りてるんでね。」
※グルーバッハさんは地球、地球に対してここまで優位にあるのは太陽をおいてほかにない。
1,尊敬しているといってもいいくらい。
2,ぼくの言うことなら無条件に信用
3,かなりな金額をぼくから借りてるんでね。
太陽は信仰の対象になるほどだから、尊敬、信用の条件を満たす。かなりの金額というのは「エネルギー」のこと
《Kはここで、太陽の化身になったかもしれない、カフカは死ぬと太陽になり、個としての尊厳を勝ち取り真の死へ移行すると考え、そういう構図で『審判』を書いたのだと思う。
※決定権/entscheidet
ent/反対、逆 scheidet/分離(決定権の意味の下に分かれているものを合わせるという意味が隠されてはいまいか。なぜならここは「月食」の絵がどうしても描けるからである。
月食で決定権を持っているのは地球(グルーバッハ)、そして月(ここの明り)そしてK(太陽)であるこの三つの条件が一列に並べば・・・。
それが少しでも目的にかなうんだったら、ぼくはあなたの提案をなんでも受け入れます、
※それ→「出て行って」、出ていくことが目的にかなう?太陽の化身であるKが出ていく目的とは?
「月食のためにKがしかるべき位置に行く
「おとめ座」と「太陽」おとめ座に秋分店があって、太陽が通りぬける。「おとめ座」は太陽の通り道(黄道)にある。
そして必ずグルーバッハさんにその説明を信じこませてみせる、単に世間態のためばかりじゃなくて、本当に心から信じこませてみせる
※世間態/Offentlichkeit
世間/mondan→Mond
《単に月のためばかりじゃなくて》
本当に心から信じこませてみせる
sondern wiklich und aufrichtig zu glauben.
sondern wirklich→sondern wirklich/特殊現象
《この特殊現象(月食)を信じこませてみせる。
so sehr hangt sie an mie./彼女はわたしに頼り切っている
「あなたの話じゃほんの二、三分てことだったのに、もう三十分かそれ以上になります」
つまり時刻は真夜中である。
ビュルストナーは、静かに、少し沈みこんで、目の前の床をみつめていた。
zusammengesunken vor sich auf den Boden/星々が大地に沈みこんでいく。
目の前に彼は彼女の髪、きちんとわけて、少しふくらみをつけて、きつく束ねられた赤みがかった髪を見ていた。
geteiltes,niedrig gebauschtes,fest zusammengehalttens rotliches Haar.
※geteiltes/共同、一致 teiltes/部分が一致、部分食
niedrig/少し
gebauschtes/共同、一致
bauschtes・膨れたもの、クッション
fest/催し
zusammengehaltenes→zusammen/いっしょに、ge/共同、一致 haltens/ぴったりと、持ちこたえる
rotliches/赤道色
《つまり、月食(部分食)の時の隠れた描写である。