「奇妙なことですわね」とビュルストナーは言った、「わたしがあなたにあることを禁じるように強いられるなんて。本来ならあなたがご自分で禁じなければいけないことなのに。わたしの留守中にわたしの部屋に入りこむなんて。」

※本来、あなたが自分で禁じるべきなのに。

 自分が自分できんじなければならない最たるものは「死」つまり「自殺」

 「わたしがあなたに死を禁じるように強いられる」

 「死」は自分で禁じること「死んではならない、生きなくては」

 クリッヒはビュルストナー(聖母マリア)に命乞いを舌のかもしれない、運命を混乱させるようなことを。

 

「主よ、もう臭くなっております。四日も経っていますから」(略)「ラザロよ出てきなさい」とよばれた。すると、死人は手足を布でまかれ、顔もおおいで包まれたまま出てきた。」(ヨハネによる福音書第11章より)

 

「あなたのことで?」と彼女は聞いた。

「ええ」とKは答えた「まさか!」と彼女は叫んで、笑った。

 

あなた(K)のことで三人のうちの一人(クリッヒ)が運命をかきまわしてあなた(K)を援けるなんて考えられないわ、反きりすとのあなたのために。

 

「しかし調査委員会のほうがさとったのかもしれない。ぼくには罪はないと、あるいはかれらが思っていたほどの罪はないと。」

「たしかにそうかもしれないけれど、現にあなたはここにいるじゃない、そのことがそういうことなのよ、悲しいけれど。」

 

「しかしいずれこの方面でもわたしの知識はきっと完全なものになる輪、来月にはわたし事務員としてある弁護士の事務所にいくことになっているんです。」

※知識/meine kenntnisse→eine kindgenesen/分娩

 事務員/Kanzleikraft→Kindleinkraft/子供の力、エネルギー

《しかし、わたしの分娩は月満ちてきます。来月にはわたし子供のことで父親(弁護士)のもとに行くことになっているんです》

 聖母(処女)は子供を産むとき納なって初めて父親のもとにいく?

 

「助言者なら大いに必要ですからね」

※助言者/Ratgeber→lautengaber/鐘、ベルを鳴らす人(鐘、ベル)を鳴らす→生死を宣告する人

 

「ええ、しかし助言者に成れというなら、問題がどうなっているのかぜひ知らなくちゃ」とビュルストナーは言った。「それがまさに難しい点でしてね」とKはいった、「ぼく自身もよく知らないんだ」

※問題というのは「生死」に関することぼく自身はおろか誰も知らないこと、生死の問題は渾に出は物理的に解明されているかに見える。しかしある日突然行き交う様は偶然という宇宙意思の神秘に委ねられているのではないか。

 

ぼくはただ逮捕されただけなんだ…「一体んなふうにして?」…「ひどいもんだった」…「それじゃあんまり大雑把すぎるわね」…「どんなふうだったかやってみせましょうか?」

彼はからだを動かしてみせようとしたが、出てゆこうとはしなかった。

※カフカは逮捕という「死」は「本当の死」ではないと考えている。腐食していく肉体と精神の分離。人間の尊厳を獲得した後自然の摂理で迎えられる死を希求していく戦委がこの『審判』という作品なのだと。

 

彼はまるっきりビュルストナーの様子に心を奪われていた。彼女は一方の手で顔を支えて肱は長椅子のクッションにあてがって、一方の手でゆっくり腰をなぜまわしているのだ。

※長椅子のクッション/Kissen Ottomanawahrend、Polster bank→polster/Polarstern(北極星)

 

「だいたいあなたをここに入れたのが間違いだったんです。そんな必要もなかったんだから、いまうかがったかぎりではね。」

「いや必要だったんです、いますぐそれがわかりますよ」

※ぜひ必要/Notwending→Notredam/聖母マリアを暗示。

Kは小机を部屋の中央に据えて、そのむこうに座った。

※小机を部屋の中央/梃子の点(北極星)のところへ移動させたのだと思う。