今朝の出来事によってグルーバッハ夫人の下宿全体にとほうもない混乱がひきおこされて、その秩序を回復するためにはぜひ自分が必要だ、という気がしたのだ。
※今朝の出来事→Kの死
グルーバッハ夫人のとほうもない混乱/一人の人間の死は(地球全体の哀しみ)であり、とほうもない混乱なのである。
秩序/Oednung→Forderung/要求、呼び出し
その呼び出しを実行(こちらへ移る)するためにはぜひ自分が(gerad er notig)是非必要。つまり自分が真であの世に逝くのに他の誰でもない自分が行かなければならない。
彼が夜の九時半に自分の住んでいる家の前についたとき、玄関口で大股ひろげてつったって、パイプをふかしている一人の若い男に出あった。「どなたです??」とKはすぐさまたずねて、若い男に顔を近づけたが、玄関のうす暗がりのなかではしかと見えなかった。「なにかご用でしょうか?親父を読んできましょうか?」
※この男は「こじし座」
①しかと見えない→暗い星ばかりである。
②大股ひろげて突っ立っている→星座を人に見立てると125度くらい足をひろげている。
③親父、この家の管理人。地球の監視人は百獣の王、「しし座」と親子関係にあるのは「こじし座」、「しし座」は父なるものである。
「いや、いいよ」、とKは言ったが彼の声には何か、この若い衆が悪事を働いたのだが自分は見逃してやるのだといった、(許してやるぞ)という調子があった。「いいんだ」と彼は言って先に歩き出して、しかし階段をのぼる前にはもういちど振りかえってみたほどだった。
※「しし坐」が監視人キリスト教の天のお父さまなら、子なるユダは「こじし座」
「やっぱりそうだ」(あれは、あの若い衆は自分なのだと)という確信がKの胸を去来したにちがいない。
(したがって若い男はFranz、親父はWillem)
彼女はまだ山ほどの古靴下がのっているテーブルのわきで、靴下の繕いものをやっていた。
※靴下/strumpf→Strafe/罰
《彼女はまだ山ほどの古い罰がのっているテーブルのわきで、罰の修復をやっていた。
あなたがわたしの一番立派な大事な下宿人であることは、あなたにはよくおわかりでしょう、と言うのだった、
※下宿人/Mieter→Mitte/真ん中、中央、内部
《つまり、だってわたしはあなたの母なのだから。》