「あなたがさっき言われたことは、ほとんど全部、かりにほんの二言三言しか言わなかったとしても、あなたの態度から推測できたことばかりだし、そのうえあれはあなたにとって好都合なことではなかったんです。」

 

1、何も悪いことはしていない(無罪)にもかかわらず、逮捕されてしまった。→人は生まれながらにして罪深く、死すべきものである。(逮捕→人生の満期日)

2、ぴったり身についた黒服etc 服装についての観察(批判)→人は生まれながらにして自由である。(衣服は『精神』を象徴、暗示)

3、「アンナに朝食を持ってきてもらおうと思ってね。」

やつらが実は町角の使い走りだったと云々。→人はみんな平等である(上下の関係があってはならない))

「自由・平等」そして博愛の精神に外れる物であるばかりか「存在の重さ」という根源的な畏れは生きている限り対峙すべきものである。

 

しかも逮捕の理由や令状の出所については何ひとつ聞きだせずに?

※何も~でない→nichts/無価値、無、空

 逮捕/Verhaftung/満期日→死

 聞く/erfuhr→farren/死ぬ

しかも、死の理由や死の命令については全く無価値(無意味)なのではないか?

 

彼は一種の興奮状態におちいって、これはだれにも妨げられずに、行ったり来たりし出し、カフスを押しこんでみたり、髪の毛をなでつけてみたりして、三人の男たちのそばを通ったときは、「まったく無意味なことだ」と言ってみたりした。

※一種の/gewisse→gewissen/良心

 興奮/Aufregung→Auflegung/負わせる

 zuruck/遡って

 撫でつける/Strich→Streich/打撃、行動

 髪の毛/Haar→Hader/浮浪人

《彼は良心の呵責を負って、これは誰にも妨げられずに、行ったり来たりし出し、人類の(歴史)を無理に遡って、浮浪人(ユダ)の行動で騒ぎが起こるかもしれないと気遣ったりして、三人の男たち(三位一体)のそばを通った時は「まったく無意味なことだ」と言ってみたりした。」

 

「検事のハステラーはぼくのゆうじんです」

※ハステラー/HastererはHadesではないか、つまり死者の住む冥界の王様であるハーデス。

 

『しかしそれにどんな意味があるのか、わたしにはわかりかねますがね。なにか個人的な事柄で彼と話さねばならぬということですか?」

※ハーデスは伝説、承知して織り込んだのである(ジョーク)神話、伝説へのやわらかい揶揄。