彼は上等のブランデーをしまってある小さな壁戸棚のところへいって、まず朝食のおぎないに一杯やり、さらに自分を元気づけるために二敗目を飲みほした。後のはただ、もしかするとそんな用心が必要になるかもしれぬ、ありうべからざる場合にそなえてだったが、
※一杯、二杯目-ein Graschen、zwites Glaschen
Graschen→Graschen→昔のドイツの金銭
若しあの世へ逝って「ユダの子孫であるあなた、ユダよ、おまえはイエスを売り渡した銀貨を返す義務があることを承知しているだろうな!」なんて…るわけがないか、だからただ、もしかするとそんな用心が必要になるかもしれぬ、あるいべからざる場合にそなえてだったが、と書いているのである。
そのときとつぜん隣室から呼ぶ声がして、彼は歯をグラスにぶつけるほどびっくりさせられた。
※叫び声/zurut→zulauf/群衆
歯/zahn→ziehen/線を引く、線条をつける
グラス/Glas→glanz/光輝
雲の中から一条に光が線条をつけてKのところに差し込んだという驚くべき光景。
監督官(Kの祖先たち/群衆
「監督官どのがお呼びだ!」というのだった。彼をびくっとさせたもには、その叫び声、短い、ぶっちぎれた軍隊式の叫び声で、これが監視人フランツのものとはとうてい信じられなかった。
※びくっとする/erschreckte→Erdsicht(空から見た地上の景観)
叫び声/schreien→schrein/棺
短い/kurze→Kruze/十字架
ぶっちぎれた/abgenhackte→Hack/践民
軍隊式/militarische→mitmensch/同じ人間、同胞
軍隊/Armee→amen(アーメン)
《彼が見た地上の景観は棺桶(としか言いようがなく)十字架、賤民…同法の叫び声で、これはまさしくユダ(わが民族の光景)であった。
ただ単に、短い、ぶっちぎれた、軍隊式の叫び声って「アーメン」かもしれない。キリストの刷がK者として裏切り者となったユダ(フランツ)ふぁあの世で「アーメン」と言っているのか?
ただし命令そのものは彼には大歓迎であった。
「監督官どのがおよびだ!」というのは懐かしいお父さんお母さんに遭えるのだから。