渡し場は針金の網を張ってあって滑車の仕掛けで船が半分以上ひとりで動くやうになってゐました。
※針金はシンキンと読んで、試金
滑車の仕掛け→火車(罪人を乗せて地獄に運ぶこと)を指し、その仕掛けで幾らかそちらへ行くけど半分以上は無事に浄土へ行きつくという意味か。
もう夕方でしたが雲が縞をつくってしづかに東の方へ流れ、白と黒とのぶちになったせきれいが水銀のやうな水とすれすれに飛びました。そのはりがねの網は大きく水に垂れ舟はいま六七人の村人を乗せてやっと向こふへ着く処でした。向ふの岸には月見草も咲いていました。
※夕方→幽方
雲はクモと読んで、苦悶
縞はシマと読んで、死魔(煩悩)
東の方へ流れ、東は(西に対する)とすると現世の方へ流れ
白と黒、白は無罪、黒は有罪
水銀はスイ・ギンと読んで、衰、吟(呻き)
水はスイと読んで、𨗉(深い、奥深い)
飛びましたはヒと読んで、避
網はモウと読んで、望
大きくはダイと読んで、die(死)
六七人はムナと読んで、空しい(人)
向こうへ着く→(西方浄土)へ着く
月見草→月も現れ葬(弔いました)。
という伏線、解釈を潜ませていると思う。(常に二重の風景を課している)