ですから斉藤平太はうちへ斯う葉書を書いたのです。

「近頃立身致し候。紙幣は障子を張る程有之諸君も尊敬仕候。研究も今一足故暫時不便を御辛抱願候。」

 

 近頃はキン・ケイと読んで、金、敬(尊く人を敬う)

 立身はリツ・シンと読んで、律、審(守るべき戒め、正しいかどうかを明らかにする)

 致し候はチ・ゴと読んで、知、語(心に感じる言葉)

 紙幣はシ・ヘイと読んで、詞、併(言葉を合わせて一つにする)

 障子はショウ・ジと読んで、章、字(文章の文字を)

 張る程有はチョウ・テイ・ユウと読んで、調、態、有(調べるありさまがある)

 之諸君はユウ・シ・ショ・クンと読んで、詞、諸、訓(言葉は諸々教え導く) 

 尊敬仕候はソン・ケイ・シ・コウと読んで、尊、敬、詞、光り(尊び敬う言葉は光である)

 研究はケン・キュウと読んで、研、究(磨き突き詰める)

 今はコンと読んで、混(いろいろなものが混じっている)

 一足はイツ・ソクと読んで、逸、促(隠れているものを促す)

 故暫時不便はコ・ザン・ジ・フ・ベンと読んで、個、竄、字、普、勉(一つ一つの文字文章を変えることに、普く勉(励む)

 御辛抱はゴ・シン・ボウは語、新、貿(言葉を新しく貿(交換する)。

 願候はガン・コウと読んで、頑、乞う(頑なにお願いする)

 

 以上のように読み解釈するけれど、細かい正否は分からない。

 二重の解釈(読解)を示唆していることは確かだと思う。