そこで斉藤平太はすっかり気分を悪くしてそっと財布を開いてみました。そしたら三円入ってゐましたのですぐその乗馬ズボンのまゝ渡しを超えて街に行きました。(略)そして東京に遁げました。
☆三円→サン円(太陽の円光)、乗馬ズボン→浄土ズボン。
財布→西方浄土
東京(西が浄土なら東は現世)
東京へ来たらお金が六銭残りました。
☆六銭→無銭。
どこの家でも工場でも頭ごなしに追ひました。
☆どこの家(ウチ/内は現世)、工場(今生/この世、現世)
平太は西、東を行き来する行いの善悪を監査する請負人、換言すれば死神(門番)ですから。
工作小屋のまん中にはあの設計図が懸けてあります。
※工作小屋はコウ・サ・ショウ・ヤと読んで、行(行い)を査(調べる)証(ありのまま)である耶(?)と。
斉藤平太はすっかり困って口の中もカサカサしながら三日仕事をさがしました。それでもどこでも断られたので楢岡工学校の卒業生の斉藤平太は卒倒しました。そこで区役所では散水夫に雇ひました。
☆楢岡工学校→奈落光学校、カサカサ→傘/parasol→SoL(太陽)、三日→サン(SUN)日(日の光)
巡査がそれに水をかけました。区役所はそれを引きとりました。それからご飯をやりました。そこで区役所では撒水夫に雇ひました。
☆巡査/Police→Polestar/北極星。
ご飯はメシ→滅私に通じ、撒水夫はサン(太陽)と水(水地球)
※伏線として、《太陽と地球》《冥府と現世》の関係を暗示しているのは面白く、斉藤平太は西東を行き来する平等である太陽を暗示しているのではないか。