『罠』

 レディ・メイド:木製コート掛け、床に固定、117×100㎝

 

『罠』、床に固定された木製コート掛け。然るべきところでない場所(床)に固定されている木製コート掛けは躓く恐れがあり、罠と呼べるはかりごとに等しい。

 置いたのではなく固定(設置)したのであれば、明らかに人為的謀略である。無意識に歩けば転倒を免れず、絶対に有り得ない場所での設置は憤りの対象にさえなり得る。

 

 以上の条件での主張とは何か。

 何事も規則、決められたとおりの景が日常を妨げない。通念を覆すものに対しては当然《抗い》が生じ、罰則の基準となる。

 不合理であることの異端、自然の矛盾、変異はある意味常態であるにもかかわらず、仕掛けられた罠のような扱いを受けることが有る。

 この不条理は多数派にはじかれる少数派に通じる。数の過多・過小は問題ではないにもかかわらず、場は追いやられ無視の圧力がかかる。この状況への報復が『罠』に込められてはいまいか。沈黙の抗議である。

 

 写真は『DUCHAMP』TASCHENより