『自転車の車輪』
レディ・メイド:自転車の車輪、直径64.8㎝、椅子に固定、高さ60.2㎝
椅子の上に固定された自転車の車輪。
四つ足の台(椅子)の上に自転車から外された自転車の車輪が乗っている。
自転車の車輪は自転車の部品に過ぎず、自転車としての機能は皆無である、この哀愁、悲惨をあたかも美しい作品として極めてシンプルな配色(白と黒)で仕上げ、点で支えるという危惧を孕む形態で立ち上げている。
この不思議な安定感に潜む危うさは、鑑賞者を近づけさせず触れさせない。
この構図は人為的であり、作家はこれを必然として提示している。
不具合が有るわけではないが部品である以上役立たずである、足りない何か・・・。完成、全てが揃うことの必然は不完全な状況を憐れむ。
『自転車の車輪』という作品の前で鑑賞者の脳裏は迷路に立たされる。《役立たずの存在が何だというのか》優越の眼差しと混乱が引き起こす戸惑い。
役に立つ生産性(機能)と、役立たずの非生産性についての論議。
存在の平等は与えられた権利である。にもかかわらず・・・。
『自転車の車輪』は深く考えさせられる問題提議を告発している。
写真は『DUCHAMP』TASCHENより
