『9つの雄の鋳型』
ガラスに油彩、鉛線、鉛箔、2枚のガラス板で挟む、66×101.2㎝
9つは数えると分かる。
雄の鋳型の意味は不明、雄と言う固定された物質は無いからである。
雄とは精巣を持つものという定義があり、精巣とは雄性ホルモンを分、精子を作る器官。哺乳類では睾丸ともいう。
精巣(睾丸)は通常露呈するような部位にはなく、隠されている。
その隠れた部位を所有する物の鋳型を特定することは困難であり、(雄の鋳型)の形態は、状況(発情)により不明であり、特定は不可である。
その不明なもの(雄)の鋳型が9つ提示されている不思議。
9つの鋳型の形態はそれらしい趣は有るが決定的な根拠に欠けるものばかりである。
(雰囲気を形態に置換し呈示する幻影の形態化)という意味不明な次元に鑑賞者は戸惑い混乱する。
(無を有に置き換えること)は(有を無に置き換えること)に等しい。明らかに形態として表示しているが凝視すればするほど霧消し正体は遠退くのである。
有るが無いという解放区の時空である。
写真は『DUCHAMP』TASCHENより