デュシャンの作品呈示はその物の持つ実用性(使用目的)をまざまざと外してみせる。

 ありうべき場から引きずり下ろす、そのままの形で使用不可に変えてしまう場の妙。

 

 垂直の壁に然るべき高さの位置を定めて設える。用法は一つだからそれ以外の場では合理性を失ってしまい不要になる。

 対象は完成品である、にもかかわらず、目的を失ってしまうという不合理。

 

 必然性を以て製作された対象をあたかも偶然に設置されたように任意の場に置くことの滑稽、その悲哀。

 総ての巡廻が正統性に基づくとは限らない。

 

 必然と偶然の挟間、認識と誤解の憂慮。

 その秘密が顕著である『罠』や、もろもろの作品群には目を見張るものがある。

 

 写真は『DUCHAMP』TASCHENより