「歩こう会」で鎌倉の某寺院の庭に立ち寄ったことがある。

 震撼とした佇まいの薄暗い木立の中に美しい女性が見えた。オーラなのか余りに深いその姿に圧倒されたわたしは、暫く見入ってしまった。

 その方はわたしに気づくと「今日は赤木圭一郎の命日でございます」とおっしゃり、少し肯いて「よかったらこの上に碑がありますから行ってみてください」と物腰静かに語った。

 風情ある着物姿の彼女、齢七十前後、しっとりとした妖艶さは眩むばかりのものがあった。

 

「ただのフアンでございます」と。

 

 21才(1961年/没)で事故死した赤木圭一郎のファン? あまりに長い年月である。

 俳優赤木圭一郎を愛したファンの、余りの深さに呆然と見送ったわたし。

 映画『霧笛が俺を呼んでいる』は、わたしも子供のころ母に連れられ観た記憶がある。ワイルドで淋し気な面影、子供には少し遠い印象だったけど、半世紀経た今でも命日に参る熱狂的なファンがいらしたなんて!(もう15年くらい前の話)