『彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも(大ガラス)』
油彩、ワニス、銅箔、鉛線、埃、アルミと木と鉄で固定された2枚のガラス、27.7×75.8㎝
彼女の独身者たち、彼女の独身者たちという言葉は成立しない。彼女と独身者たちとは別個の存在であり、(の)という所有はない。
彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、というフレーズは雰囲気的にはそのような関係を醸すが内実は空である。
(さえも)に至っては《何が?》と、更に不明度が増す文体に近づく。
関係性、距離間、不連続・・・総てが断ち切れている言葉をつなぎ合わせた妙は不思議な偽空間を作り上げるが《虚無》をことさら拡大しているだけである、この不思議な妙(関係性)を成立させたタイトルには畏敬の念さえ感じる。
つまりは《制約の破壊、全否定》であり視覚に訴える(大ガラス)さえも・・・総ては矛盾の羅列であり、偶然は必然の否定ではなく、必然の範疇に在るべき偶然であるという宣言がここにある。(存在の総ては、並べて偶然であり並べて必然なのだという証明である)
写真は『DUCHAM』TASCHENより