『イメージの裏切り』

 

 イメージ…頭の中に思い描く、物の具体的な姿形、感覚。心象。

 イメージとは要するに現物(リアルにそこにあるもの)ではない。

 

 明らかに見知っている(パイプ)の形状であり、逆に他の答えを見出せない。にもかかわらず(イメージの裏切り)であると。

 イメージというものは主体的ではなく、付随した客観的な共通性を持つものであるが、《パイプのイメージ(姿形)はこうである》と決定付ければそうであるほかない。

 

 裏切りとは予想に反するものであれば、《これは違う》という意見である。

 「これは、パイプではない、であり続ける(CECI CONTINUE DE NE PAS ETRE UNE PIPE)」

 これはパイプではない(が)パイプでないもの(イメージ)として在り続ける。

 

 イメージは心象であれば、物理的一致は否定されるが、不一致(イメージ)は肯定されるべきものである。

 A=AであるがA’≠A

 ∴ A’はA’であり続ける

 

 見えるものは記憶として肯定されるが、記憶(イメージ)が見えたものに等しいという観念は心象のリアリティに結び付く。脳内を経由する道すじでの誤差はそのまま記憶としてのリアリティとして留まり続け、それは心理学上の決定となる。

 

 写真は『ReneMagritte』カタログより