『巡礼者』

 

 信仰のため各地の神社、仏閣、聖地、霊場を参詣して回る人。

 

 画の背景はグレーのベタ、礼装の着衣・山高帽。顔があるであろう位置の真横にずれて顔がある。

 きわめて真摯なその顔をよく見ると、一点を見つめているようで見ておらずどこか遠くに焦点があるような眼差しである。

 

 これを以て『巡礼者』とタイトルしており、 巡礼、何かを祈願し何かを探求し畏敬の念を以て信仰の対象たる聖地を巡る人の相を描いている。

 なぜ、着衣(礼装)と顔(実態)は個別に描かれているのか。巡礼の本質はあくまで信心である。

 着衣(礼装)は外観であり、見たままの様相である。そこに顔(思考)が外れてあるということは『巡礼者』の心の内と着衣(見かけ)に差異があるという暗示ではないか。

 

 頑なに信仰心を貫くゆえの巡礼に、抱く疑問を投げかけているのではないか。

 

 写真は『Rene Magritte』カタログより