『ある聖人の回想』

 

 聖人とは、知恵に勝れて、理想的な人物と仰がれる人、ローマカトリック教会で殉教や徳行を教皇によって認められた人。

 ある聖人とある。(ある)ということは数ある聖人のひとり(何某)ということか。

 

 漆黒の闇と地に、幕で仕切られたある領域がある。空と海と地面(大地)である。

 

 第一章 はじめに神は天と地とを創造された。地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた。

  神は「光あれ」と言われた。すると光があった。神はその光を見て、良しとされた。神はその光とやみとを分けられた。神は光を昼と名づけ、やみを夜と名づけられた、夕となり、また朝となった。第一日である。(『創世記』より)

 

 『ある聖人の回想』、マグリットは肯定も否定もしていない。この偉大な発想に神秘と敬意を表し静謐に描き留めている。詞(言葉)の持つ力というものに驚愕脅威の念を抱いたのだと思う、極めて冷静な分析による所見である。

 

 写真は『Rene Magritte展』カタログより