『影』
影、光を遮った物体の後ろに浮かび上がるもの。
光の反射によって水藻やガラスなどに映るもの。
姿や現象。(シルエット)
心理的なありさま(面影)
印象、傾向、兆し。
月、星などの光。
影には目に見える物理的なものと心に映る印象や面影など精神的な眼に見えないものがあり、また遠くの月や星などの光(空気感)がある。
作品に関していえば地面というより海面(水面)から生えているかの樹のシルエットと巨大なパイプ(立体)、朝焼けか夕焼か判別が難しい空(上空は次第に暗色グレーに)
この条件を以て『影』とタイトルしている。
一言でいえば非現実であり幻想のアッサンブラージュである。要するに異なる時空の混在を一つの画面(平面)に見えるように納めている。
影とは掴み得ぬものであり限定を由とせず、動くことを可能とするものである。(陽は刻々と移動する)
樹の影とパイプの影は同一方向に流れているが描いた視点は量感を感じないほど地平線(水平線)すれすれの低さである。
この矛盾だらけの時空のアッサンブラージュをあたかも一つの時空に収めた意図は何だろう。
『影』とは存在するが存在せず、実態の確証に欠ける。
つまり、客観的事実の普遍はなく主観としての残像を優先するものである。
存在するが存在しないものへの敬意と洞察、自由と不自由の挟間。影は物理界と精神界をつなぐ《現象》である。
写真は『Rene Magritte展』カタログより