『神々の怒り』
神ではなく神々(複数)である。神とは自然や人間の運命を支配し超人的な威力を示すとみなされる存在。
画は走る乗用車、馬を走らせる騎手。変哲もない景であるが、違っているのは乗用車の上を馬が走るという景である。馬が乗用車の上に乗っているのではなく走っている図である。
騎手は乗用車の上を飛び越えようとしているのか、有り得ない光景である。
精神に宿る神々は自然との共存の上に真善美をうたうものであり、正義や律法に加担誘導するものである。故に物理界の論理を冒瀆することは絶対に有り得ない。
走る車の上に疾走する馬(騎手)の関係を由としない。危険であり破壊、崩壊を予期する状況を神ならば非難し悲嘆にくれるに違いない。すなわち『神々の怒り』がある。
平穏に見える危機的状況を描いて『神々の怒り』とタイトルする。
嵐の前の静けさ不穏、人は分からずとも神々は怒りを以て見ているに違いない。
写真は『Rene Magritte』カタログより