『青春の泉』

 

 鳥が羽を広げた形を想起させる旧い石碑。

 左には巨大な馬の鈴(口伝、説明、言葉)、右には巨大化された一葉(葉脈でなく根を孕んでいる)。そして水平線、手前には石塊がごろごろという景である。

 

 水平線(永遠の真理)、馬の鈴《言葉》、根を孕む一葉《想念/思考》、堂々たる石塊(年月を経た自然)。

 鳥(オリブの葉を持ってきた鳩ではないか)が拡げた翅の域には「ROSEAU/葦」の文字が刻まれている。

 

 「人間は考える葦である」というパスカルの言葉こそ、歴史を認定し得る人間の幕開け(青春)である。

 

 背景の朱赤は太陽。

 それを隠した石碑の声明、畏れることなく太陽に対峙する人間の叡智はここに青春を謳歌しうるのだという発見である。

 この時代(超未來)・・・石碑は時代を重ねても永遠を誇示するだろうか。

 

 主なる神はとこしえの岩だからである。

 わたしのほかに神があるか。わたしのほかに岩はない(イザヤ書)

 

 『微笑』に見たようにこれらを客観的に、他所事のように微笑で眺められる日があるかもしれない。星や砂の数ほどを重ねた超未來に於いては如何。

 あぁ、こんな『青春の泉』があったのだという回想が過る日を《考える葦》であらばこそ脳裏を過る謀を可能たらしめもするのである。

 

 写真は『Rene Magritte』カタログより