『説明』

 

 前の『説明』とほぼ同じ構図、同じ設定である。

 違っているのは、背景がベタでなく連なる山の山頂であり床(テーブル)に落ちた影が順当なことと、人参が萎れかけている点である。

 瓶に合体した方の人参も少し傾き萎れている風情。時間の経過を示しており、あたかも自然を醸している。

 

 『説明』The Explation、と題している。

 山頂の景色、光彩・・・一見順当である、瓶と人参の合体さえなければ。

 

 自然の摂理に従った光景は、瓶(無機であり硬質)が人参(有機であり軟質)の態に変容していくという不条理を表明している。

 一部の虚偽が全体を虚偽の範疇に引き入れている。

 

 世界全体が平和であっても一部の欺瞞が世界全体を不穏にし疑惑の眼差しに晒されることの説明である。

 自然(人参)は人為(例えば瓶の製造)とは融合しない。強制を強いたとしても。

 

 人為(例えば核)は自然との接合を拒否する。

 

 写真は『Rene Magritte』カタログより