『心臓への一撃』
心臓への一撃はすなわち《死》に至らしめるものである。
天空の曇天、薔薇を軸として左側の水平線ははっきりしているが、右側の半分は不明確である。
薔薇の枝葉の影は左側に落ちているが薔薇の花に当たる光は左から射している、つまり画の時空は条理を外している。
取って付けたような巨きな薔薇に対峙する鋭利なナイフ(当然こちらも取って付けたナイフである)。
疑惑、虚偽、現実には有り得ない錯綜した感覚。死に至らしめる主張の毅然。
下草も生えない岩場に出現した鋭利なナイフを所有する薔薇の木の幻想。
すなわち本当らしい嘘偽りが心臓を一撃する因である。謀(はかりごと)の罠は現実と非現実の間に隠蔽されているという警告であるかも知れない。
写真は『Rene Magritte』カタログより