『美しい言葉』

 

 薔薇一輪の画である。

 『美しい言葉』の本質はこのようなものであるという。

 

 水平線(地平線)は曖昧に暈している。(有るや無しや)の不確定な描写。

 薔薇の足許(根あるいは設置の状態)が描かれていない、いわば根拠の不明。

 薔薇から立ち上る薔薇に酷似した形態の空気感。疑似は大きく拡大され本質を失っていくように見える。

 三日月は南中時見えない。(陽が沈むころ西空に姿を明らかにしていく)

 

 これら指摘されるべき嘘は、(らしく在るように見える)。

 『美しい言葉』に罪はなく、ひたすら美しく装う華やかさを有している。

 『美しい言葉』に罪があるとしたら、謀が潜む瀬である。

 

 写真は『Rene Magritte』カタログより