『自然の驚異』

 

 上半身は魚、下半身は人間。大きさや足の太さ(筋肉)などで男女と推しはかられる二体が石の座に寄り添うように座っている。

 海と空と大地、海の水が船舶の形態に立ちのぼっている景である。

 

 水(海水)と天空の雲、そして岩石。

 水と石の景(水地球)、原始の景である。

 

 海水で模られた船舶(巨船)は絶対に有り得ず、魚類と人類の合体もあり得ない構図である。

 

 どのくらいの時間を要したのか不明である。船舶(創造・人為)、魚類と人類の分岐・・・水地球における生命の誕生、愛の認識、連鎖、時間。叡智が図る歴史。

 

 『自然の驚異』という感想は奥が深い、光りと水と土との鬩ぎ合いは光(エネルギー)の営みであり闇の深さでもある。

 『自然の驚異』は原始の任意(生)であり、未来の任意(死)かもしれない。

 

 写真は『Rene Magritte』カタログより