『精神の自由』

 

 陰部を白布で隠した熟女(大人の女性)のヌード、右手にパイプを左手は白布に当てている。

 幽かに見える二十六日付近の月が南中しているが、これはない。(南中する真昼に星は見えない)

 

 『精神の自由』、この画には嘘がある。すなわち精神の自由である。(物理界に嘘は無いが精神界に於いては嘘は自由である)

 立派な石造りの屋内の際に立ち、上向き加減の眼差しはあたかも誓い(誓言)を秘めている風情である。固く結んだ口は自身に満ち溢れ堂々としている。

 

 女であることの自由、《性》は我が(女)ものであり、女の意志によるものであると。

 手のひらに転がすパイプ(男)の軽さよ、女はほくそ笑む。

 

 真実を語る水平線の静けさ、夜明けに見るべき二十六夜の月の南中。

 虚実が交じる世界をも自由に行き来する女性の自信。肉体の誇示ではなく、尊厳ある姿に他ならない。

 世界(時空)を我がものとする『精神の自由』は女性を義務から解放する、すなわち尊厳ある女性の誓言である。

 

 写真は『Rene Magritte』カタログより