『禁じられた世界』

 

 海の底で金色の縁のあるソファに横たわる裸婦ならぬ人魚。

 手に薔薇(愛、人としての情愛)を持った熟女、裸婦である。しかし人魚故、股間は閉じられているのでセックスは不可、拒否の体である。

 

 海中深く沈みこんだ裸婦(人魚)、肘をついて横たわるポーズの裸の女性。

 室内だろうか、否、サンゴが生えている砂地である。

 

 このシチュエーション、おとぎ話かまぼろしであり、有りえない非現実の構想。

 《虚偽の幻想》に他ならない。

 

 『禁じられた世界』熟女の裸像は待っている、あるいは誘惑の景? 目を閉じているが眠っている(熟睡)の態ではない。

 この画の真意、「禁じられた世界」は性愛を指すのではない。構成された嘘、虚偽の禁止である。

 「わたくしの作品は嘘、虚偽で構成されており禁じられた、禁じられるべき世界観をもって構成されていることを御承知ください」というメッセージを感じる。マグリットの独り言でもある。

 

 写真は『Rene Magritte』カタログより