『人間嫌いたち』
人間嫌い・・・人との間に距離を置く、人間であるが同族意識にしり込みし心を解放できないでいる心理、状況。
不信、不審だろうか。他者との関係性を拒む傾向。
作品はタッセルで片側に寄せられたカーテンが林立している景である。片側に寄せられた? これは窓からの景を見ることが可能なカーテンの有り様ではないか。
異常な巨きさを感じるカーテン(元来閉じるべきもの)の片側が地上に意志を持ったかのように立っている。カーテンそのものは上部から吊り下げられるものであれば、林立の景は絶対に有り得ない空想の景である。(バリア=警戒であると同時にあたかも戦力のような形態でもある)
非現実に逃避する、何処までもずっと果てしなく・・・その間、樹が一本(現実)霞んで見えるがひどく存在感のない態である。
地平線が下の方にあるということは見上げている景であるが、上部の方がむしろ大きくしっかりしており(遠近法の通用しない景/空想)、異なる(俯瞰)視点が複合的に描かれている。
カーテン(閉鎖)、タッセルで片側に寄せられているカーテン(解放)、地平線や一本の樹は霞んでいる(曖昧、混沌)、視線の多重。作品(画)は静かだが、どこか威風堂々の趣がある。
《矛盾》
見る、隠れるの混在。
人間嫌いの根幹を貫くものは外界への興味と外界からの逃避であり、それこそ人間の本質を貫くものではないか。人間嫌いたち(複数)は極端な傾向をもつものではなく、ごく平凡な大衆そのものの姿かもしれない。
個/わたくしは多/一般に等しく、『人間嫌いたち』は普通の景である。あなたもわたくしも、と景/作品は教えている。
写真は『Rene Magritte』カタログより